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魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第7話 彼の来た理由―前編
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風呂から上がった六課一同は、一度施設の中の休憩場に集まり、思い思い談笑していた。
銭湯定番のコーヒー牛乳を飲んだり、少し風呂につかりすぎて逆上せたのか手でパタパタと仰いだりとくつろぎ方は人それぞれだが、皆第97管理外世界地球の独自の文化、“銭湯” を気に入ったらしく、一様に楽しそうに温まった体を休めていた。
そんな和やかな輪から一人外れて、はやては物思いに耽っていた。
お風呂から上がったばかりにも拘らず、眉根には僅かだがシワが寄り、その視線も心なしか厳しいものになっていた。
「どうかされましたか、主?」
そんな主を気遣ってか、談笑の輪から抜け出しシグナムが声を掛ける。
少し深く考え込んでいたのか、はやては一瞬はっとしたような表情になった後、手を振りながら、なんでもあらへんよと返す。
しかし長年共に過ごしてきたシグナムの眼はごまかせなかったらしい。はやての視線を辿り、行き着いた先にいた人物を見て納得したように頷いた。
「メイフィルス陸曹のことですか」
「かなわへんな〜シグナムには」
シグナムの言葉にはやては正解と苦笑を返した。
「なんかお風呂入る前はエリオと少しギクシャクしとったみたいやから心配やったんやけど、お風呂あがったら嘘みたいに仲良くなっててな。よかったな〜って思とったんよ」
お風呂に入る前のエリオとラディの二人はどこかぎこちなさがあった。
もっともそれは、エリオが一方的にラディに対して苦手意識を持っていたせいなのだが、それも俗にいう裸の付き合いというので解消されたらしい。
だがそれははやてからしてみればにわかに信じがたいことだった。
エリオがラディに苦手意識を持っていた原因は、おそらく彼がスパイだということと、キャロの “お兄ちゃん” という呼び方にあるのだろう。
本人は気づかれていないと思っていたのだろうが、キャロがラディのことを “お兄ちゃん” と呼ぶ度に、エリオはひどく動揺していた。
特に、バーベキュー大会のときなど、誰の目から見ても明らかなほどだった。
だが今はもうそれがない。
ラディのおごりのコーヒー牛乳を片手に話に花を咲かせる三人にそんな様子は微塵もなく、キャロがラディのことをお兄ちゃんと呼んでも、エリオは特になにも反応せず、普通に話をしていた。
とすると、風呂の中であったなにかで、エリオの中にあった兄に対する意識が変わり、それに伴ってラディに対する印象が変わったと考えるのが道理なのだが……
(なにがあったらそんな急にコロっと変わるんやろ……?)
キャロが途中で男湯に乱入したことを考えると、二人だけで話せてた時間はそう長くなかったはずだ。
そんな僅かな時間で変わるほど、エリオの兄に対する感情は単純なものでもないし浅い
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