交節・ “愚” と “紅” 、二種の殺戮者
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遥か上を行く程に。
(だからといって此処で退けるかっ……諦めたら終わってしまう!)
スイは一度目を閉じ、心の内で自分に鬩を飛ばして奮起させ、雄牛の如き気迫で駈け出して行く。
女性プレイヤーは不敵な笑みへと変えた表情で、スコーピオンを曲芸の如く回しながら迎え撃つ。
「うおおおおっ!!」
「フフフ……はっ!」
スイの袈裟掛けに斬り降ろした右手の剣を女性が力技で跳ね上げて、左の剣を邪魔し必然的に横薙ぎを誘発させる。
策を曲げられながらも繰り出した剣は、ダンスの様なダッキングで回避される。
其処から上体を起こしながら打ちこまれた一発を起点とし、赤い軌跡を引く連続突きが勃発。
「せいあっ!!」
スイは一対の剣の腹を使って防御し、一際力を込めて入れ込んできた一撃を跳ね上げパリィする。
「ほっと」
それも女性は余裕で対処してくる。
手を付いてのロンダートから瞬時にスコーピオンが跳ね上がって来て、スイの追撃の一撃目は上段へ、二撃目は下段へそれぞれ反らされた。
「喰らえっ!」
今度はスイが両手剣の位置を逆利用し、剛破剣スキル範囲四連撃【ダブル・ブラスト】を発動させる。
海の様な蒼色の光が二閃、確かな鋭さを称えて空気をも切り裂いてきた。
「まだ甘いですねぇ!」
女性もまた名称不明のソードスキルを発動。
深紅の輝きで刃が埋め尽くされ、態とらしい位にゆっくりな下段へ構えから、力を溜めたバネ仕掛けの如く爆速で切り上げられてくる。
水平と下段が一度目の衝突。
手早く切り返される二撃目が身体ごと前に出す剛撃で激突。
回転してきた三撃目は、意趣返しか同じ回転切りで迎撃。
それぞれ全てで、大気ごと震わさんばかりに轟音が轟く。
「おおおっ!!」
最後の四撃目……
「それっ」
「うぐ……!?」
それは手元を狙っての突き。右肩ごと入れてきた刺激で剣の位置がぶれ、スキルが強制中断させられる。
しかし、それはスイの方だけ。
女性のスキルは終わっていない。
「はぁっ!」
最後の紅蓮なる一突きが胸部を強く穿って、数メートルの距離を声もあげさせず吹き飛ばした。
「くそ……」
「フフフ♪」
「……なっ!?」
顔を上げれば女性はもう1m弱の手前に居る。
毒突く暇も無く、スコーピオンで連続攻撃を見舞ってくる。
体勢が崩れたスイは、不利な状況のまま受け止めるしかない。
万事休すか。
「……馬鹿正直に突っ込んできてくれて助かったぜ」
「? ―――あっ……?」
いや、まで終わりは告
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