交節・ “愚” と “紅” 、二種の殺戮者
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、すぐに傾け箇所を変えてスコーピオンの切っ先を顔へ突き出してくる。
獰猛なひらめきを持つコレをスイは危なげなく避け、弾かれたまま上段にある剣を振り下して―――
「よっ!」
……否『振り下ろそう』として、肩口を掠めた何かに中断させられる。
チラと見えたのはスコーピオンの “鎌刃” 部分であり、突いた際には立てていたそれを今度は傾け、傍へ戻す形で引き切ったのだと理解できる。
しかし……それは逆に攻撃後であり、つまりスイが攻撃を当てられる千載一遇のチャンスだ。
「はあぁっ!!」
今度こそ最上段から両手剣を裂帛の意を持って振り下ろすが、笑顔と無言のままに紙一重で回避される。
……が、当然上段斬り降ろしで攻撃が終わる筈も無い。
斜めへ斬り上げるべく、左肩を沈めて女性へ視線を固定し狙いを定める。
「ほらっ!」
「おおぉ―――あぁっ?」
顔面付近にあったスコーピオンの刀身が、スイの両手剣めがけて叩きつけられ火花が飛び散った。
力を入れて持ち上げかけた剣は僅か数秒にも満たない “痺れ” に邪魔された。
其処で終わらせないと女性は柄尻についたピック部分で刺突を繰り出し、スイとそれなりに近い所為で避け切れず細かなダメージが積み重なっていく。
(押されっぱなしじゃ分が悪い!)
如何にかチャンスをつかもうと、半歩引いて柄を握る手へ力が籠る。
「……ニィ?」
「しまっ……」
そこで失敗を悟った。
女性の武器、スコーピオンの本来の刀身は未だ “下” にある。
要するに両手剣の “上” にある事になり、其処で刃を上げてしまえば……?
其処まで試行したスイの顔面へ、予想通り殴打に向いたフレーム部分が襲い来る。
スウェーバックで如何にかこうにか本命は躱せたが、槍部分で鼻っ柱を掠め斬られた。
―――此処までの戦いがたった “一分弱” に届くぐらい。
……ハイレベル同士だからこその、スピードバトルだ。
「っ……なら、これだっ!」
スイの次取った選択は【ソードスキル】。
両手持ちから後ろに腰溜め気味に構え、そのプレモーションから放たれるは【ブラスト】。
女性プレイヤーは武器を振り切った勢いで、まだ距離が開いているとはいえない。
なら、有効であろう二連撃を決める気でいるのだ。
発生と硬直回復共に速いスキルなうえ、受け止めけられたとしても『412』という並はずれたレベルから来る筋力値により、大きく跳ね飛ばす事が出来る。
先刻よりも速度を上げ、オレンジプレイヤーを瞬く間に葬った赤橙の光剣が、大きくひねった体勢を活かして烈火さながらに振り出された。
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