交節・ “愚” と “紅” 、二種の殺戮者
[4/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
しましょう?」
何の意趣返しなのかコレまたきっかり二十秒後、苔の生えたオブジェクトの影から一人のプレイヤーが姿を現した。
「な……?」
その声に、姿に、スイはまず驚く。
何故なら出てきたのは、150cm代前半へ入っているかどうかな低身長の、赤い髪を触覚状のツインアップに括った少女プレイヤーだったからだ。
当然ながら声も男とは違うソプラノボイス。
トランジスタグラマーな体形で、体の線がクッキリ出る袖無し臍出しのインナーと、髪とはまた違う赤い色をしたアラビアン風のズボンを着用している。
武器は背後にある濃い紅色の刀身のスコーピオンらしく、柄尻は床につけ後ろに回した両手で添えるように持っていた。
そして容姿―――スタイルがいい事は勿論、顔も美少女といっても差支えなく、一見それを台無しにするような顔に刻まれた『Ω』状の刺青も、何処か少女の魅力を引き立てているように思える。
スイの知り合いに居る、アスナやリーナといったプレイヤーも美少女の域に入るが、彼女等と比べても引けを取らないぐらいだった。
「何の用だ? あんた」
「フンフ〜ン♪ 〜〜? フ〜ン♪」
スイの発言に少女は笑顔のまま鼻歌を初め、純心さを感じるニコやかな表情を崩さぬまま、脚首と膝を使って上下に動き、ツインアップをピョコピョコ揺らす。
……其処で感じる、二つの疑念。
確かに見た目は “少女” なのだが、纏う空気はどちらかというと “女性” を想わせる。見た目相応の歳ではないのだろうか?
そして二つ目は、とても可愛げな笑顔である筈なのに……何故だかスイはその様子に強烈な《違和感》を覚えてならなかった。
まるでそれは、彼女が何かを隠している様にも……。
「フン〜♪ フンフ〜ン?」
スイがそんな思考をしていると知ってか否か、尚鼻歌も上下運動も止めずに目を閉じ続ける、眼前の少女―――いや、女性プレイヤー。
何時まで経っても進展させない様子を見て、スイが焦れて先を促す言葉を掛けるべく口を開く。
「なぁ、あんたいい加減に―――」
其処で止まる。
気が付いてしまったからだ……予想とは違うプレイヤーだったと言う事、依頼はもう終わったという事、それら要素が組み合わさって認知するのが遅れてしまったのだ。
「オレンジ……プレイヤー……!」
女性の上に浮かぶ『オレンジ』色のカーソルに。
「おや、やっと気が付いたのですか。フフフッ、あなたの脳はとても個性的な時間の流れを持つのだと見えますねぇ? ご褒美に10点満点で10点を上げましょうか♪」
つまるところ彼女に、
『あんた気付くの遅すぎ、思考回路イカれてんじゃない
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ