交節・ “愚” と “紅” 、二種の殺戮者
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者達。
つまりスイが狙っていたのはただのプレイヤーではなく、人としての道を踏み外した外道共であったのだ。
もっと言うなら彼は此処へ “依頼” があって来た為に、それ即ちレッドプレイヤー達を殺す事を望んでいるのがスイ一人では無いので、彼ばかり重い目に有っている訳ではない。
「……」
しかしながら……スイもまた正義感だけで戦っているとも、命の重みを一身に背負っているとも言い難く、それどころか狂気に走ったか殺人を 『楽しんでいる』 節も少なからずあった。
彼がこうなった発端には、“カイト” というプレイヤー、そして “PoH” というレッドプレイヤーが関わっているからなのだが、それにしたって行きすぎではという思いが先に立つ。
皮肉にも殺し続ける中で、スイはオレンジプレイヤー―――否、レッドプレイヤーとある意味同義の意思を、己が内に抱いてしまっているのかもしれない。
「もう用は無いし、帰るか」
男達から奪ったアイテムの中に、結晶アイテムが無い事を知るとスイは徒歩で帰らねばならないか、それとも自分のポーチにあるアイテムを取りだすかで、アイテムの金額の事もあり真剣に悩み始めた。
再三言うが、彼は人を殺したばかり。それで日常に近い言葉を紡げるのだから……やはり、何処か狂っているのだろうか。
されども彼が行っている事は、百害あって一利無しな自己満足だけではない。そう易々止める事も出来ないだろう。
「……しょうがない。今後もあるし、経費削減の為に歩こう」
きっかり二十秒間悩んだ結果、スイは其処まで上部の位置のでない場所へ居たのも有り、迷宮区を歩いて降りて主住区へ戻る事に決める。
ダメージも無く、時間もかからず、なのに結晶アイテムでワープする事に金を掛けるのは、正直馬鹿馬鹿しいと思った所為なのだろう。
何時もと変わらぬ雰囲気のまま、何時もと同じ空気の漂う道を、スイは何時もと何ら変わらぬ足取りで戻っていく。
“パチパチパチパチパチ……”
「……?」
軽い調子で叩かれる、拍手の音を聞くまでは。
何処から聞こえてくるのかとスイは辺りを見回すが、鳴りやまぬ拍手の音に反して主は姿を現さない。
「……出てこいよ、隠れてたって無駄だぜ」
しかし相手の演出も無駄。
彼は索敵スキルをコンプリートしており、視界に表示したマップに映る “無色” のカーソルで、拍手を送ったプレイヤーの位置を把握しているのだ。
同時に、スイから霧散した筈の緊張感が漂ってくる。
そして―――
「はい了解しました♪ これ以上フリを続けても滑稽なだけでしょうしぃ、姿をお見せ
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