交節・ “愚” と “紅” 、二種の殺戮者
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色なる斧刃で大きくノックバックさせてきた。
まともに逆らえず、スイは転がりこそしなかっただけで、しっかりとダメージを負わされてしまった。
「くお……っ! うあああ!!」
スイの放つ雄叫び。それは果たして、己へ向けたものか、それとも彼女へ向けたものか。
“ソレ” を着火剤とした連続斬りが始まり―――左手の切り払いへ右手の袈裟掛けが追随し、巻き戻しの様に右手が払われる。
左手の剣を突き入れそのまま薙ぎ、右手の剣を上段から叩き付ける。弧を描いて左の刃を接近させれば、直角な軌道で右の刃が襲いかかった。
一つ一つが獣の雄叫びにも似たサウンドを響かせる。
女性は柄で反らして剣の軌道を邪魔し、突きからの切り払いを滑稽だと殴打で押し戻す。
上段から来た斬撃をスウェーバックで髪にすら触れさせず、左の刃は紅色の刀身で範囲の外へ。
余りにも真っ直ぐに一撃に、力技で対応して全てを捌く。
打ちあった鉄の眩い光が、薄暗い迷宮を数瞬照らした。
「うおおおああああぁぁ!!」
禍々しいまでのライトエフェクトが視界までも覆い尽くし、剛破剣スキル上位連撃【ダブル・アストラル・ヘル】が猛々しい鋼の凶器へ暴意を宿す。
(もっと先読みを……もっと速さを……もっと力をっ!!)
親友の為、残してきた者達の為、何より自分の為。
叫び狂うスイの心の中で感情が爆発し、此処で終われないと―――終わる訳にはいかないと、剣が更に速度を、内包する威力を増加させる。
間違いないスイの放ってきた中で、最大最強の連撃―――!
「終わりにしましょうか?」
現実は無情だった。
女性はあざ笑うかのように一発目の斬撃を躱して、跳躍し二段目が空振り、三段目を足場として更に上空へ躍動したのだ。
(どこまで、力の差がっ……!?)
見上げるだけのスイの眼に映るは―――
「キシッ……♪」
暴力的なまでに美しい『紅』の刃と、狂気的な感情を秘める『緋』の瞳だった。
・
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「……はっ……?」
水の垂れ落ちる音がする。
モンスターの咆哮が聞こえる。
気が付くとスイは、迷宮区の安全地帯に居た。
……いや、その判断は適切ではないだろう。何せ先程までスイは安全地帯の中で死闘を繰り広げていたのだから。
「……夢、だったのか?」
戦っていた女性の、余りの現実離れした強さにスイは思わず呟いて……
「……?」
傍に何かが転がっているのに気が付く。
羊皮紙アイテムを丸めた物の様で、
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