月下に咲く薔薇 22.
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XISも同じなのだ。
「おや、立て直してしまいましたか」肩を落とし、アイムが軽く息をつく。
「残念だったな。ZEXISとZEUTH渾身の計画に水を差すつもりだったんだろうが、そうは問屋が卸さねぇ。こいつが、てめぇの口八丁の限界だ!!」
思いの全てを代弁してくれた少年達のおかげで、クロウの中にも火が点る。
「歌や呼びかけなどに成果を期待するのは無駄だと思いますが、仕方ないですね」遂にアイムが、言葉の上では作戦の妨害を諦める。「もし、どうしても接触試行を行うというのでしたら、私もここで見届けましょう」
どよめきが起こる中、アイムが室内にいる全員をざっと眺め回した。
「ランカ・リーのスケジュールに、少しばかり細工を施しました。あなた方が押さえた2日後の午前ではなく、明日の午後、彼女はマネージャーを伴いこのバトルキャンプを訪れる筈です」
「はぁ…?」
クロウのみならず会議室でのやりとりに関心を持つ全員が、ここでようやく合点した。アイムはこの話をしたいが為、バトルキャンプに侵入したのだ。
再接触に立ち会いたいだの、ランカのスケジュールをZEXISの為に変更した、だの。一刀のもとに両断するには躊躇いが湧く話が飛び出し、クロウのテンションには水が差された。
ZEUTHを追い詰める為に現れただけなら、どれ程気楽に振る舞えるだろう。
キリコ達に囲まれているこの男が、ZEXISと謎の敵との接触計画を既に掴んでいる事は先程知った。そもそもそれ自体、大いに都合が悪い。
その上、ランカの来訪スケジュールに手を加えたとうそぶいているのだから、計画の立案時に顔を揃えていたクロウやロックオン、大塚にとっては、最悪の知らせ以外の何物でもなかった。
アイムは、歌の効果など爪の先程も信じてはいない。その男が水面下でZEXISの背を押していたとなると、裏があるのは当然ではないか。
「でたらめな事を言ってんじゃねぇぞ、アイム」衝動的に、抵抗の言葉がクロウの口を突いて溢れ出る。「ZEXISには、ランカちゃんとのパイプを持っている奴が何人もいるんだ。てめぇがいくら適当な事をほざいても、すぐに暴いてやる!」
「では、確認してみては如何ですか? あなた方が持つあらゆる手を尽くして下さい」
澄ました態度のアイムに、キリコ、五飛、トロワ、ヒイロ、そしてロジャーの髪や手が僅かに動く。
「確かめてはみよう」間を置いてから、ロジャーが毅然と言い放つ。「しかし、たとえランカ嬢の来訪が早まったとしても、それはあくまで我々の側の事情だ。勿論、アイム。お前をコンタクトの場に立ち会わせるつもりはない」
「良いのですか?」アイムが笑った。薄笑いよりも頬の歪みに目が行くその表情が、サンドロックの作り出す影の下で異様に浮き上がる。「敵のDフォルトを突破する為に、私とアリエティスが
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