月下に咲く薔薇 22.
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ナイキック、キタンとヨーコのガンメンにゲイナーのキングゲイナー、ロランの∀ガンダム、ウイッツのエアマスターバーストが地上と上空に待機している。
配置を指示したのがスメラギならば、今のクロウからは確認する事が困難な死角部分にも必要な措置を全て施している筈だ。
ドアが開くと、武装したパイロット達を従えロジャーとドロシーが入ってきた。
「こうして顔を合わせるのは久し振りだな、アイム・ライアード」
「これはこれは。元気そうで何よりです。ロジャー・スミス」
「携帯端末を通し、話は全て聞かせてもらった。なかなかに興味深い内容だったので、私も参加させてもらいに来た。いいな?」
更に奥へと進み入るネゴシエイターとドロシーを、武装したパイロットがすぐさま追い抜いた。片手で拳銃を握るヒイロ、トロワ、五飛、キリコの4人が半円を描いて壁を背にしたアイムを包囲する。
クロウとアイムの間にはキリコが割り込み、最早今の位置からは敵の表情を直接伺う事ができなくなった。わざとだ。キリコは、敢えてそれを狙っている。
「アイム。先程君は、非常に興味深い数字を口にした」
「5の事ですか?」
眉を上げるアイムに、ロジャーが失意の溜息を吐く。
「わかっていながらはぐらかすのか。20年前、確かにそう言った筈だ。この多元世界で20年前と言ったら、大時空震動が起きた年にあたる」
「ブレイク・ザ・ワールド…」
言い換えるように、アイムがそう呟いた。
ネゴシエイターが硬直する。
いや、そんな生やさしいものではない。硬直して完璧な人形になった、と表現した方が正しいくらいだ。
隣に立つアンドロイドと同じに映る、呼吸の有無さえ定かでない不動ぶり。瞬き一つしなくなったので、クロウには、彼がドロシーよりも人形めいた冷たい存在へと変貌してしまったように感じられた。
先程の会議を、ふと思い出す。敢えて考える事を避けていたのだが、ZEXISとZEUTHはよく似ている。部隊の構成だけでなく、大きく重い過去を背負っていると思われる部分まで。
「そう。始まりは正しく、あの悲劇です。20年前、ブリタニア・ユニオンのとある辺境で一組の親子と敷地に育てていた植物たちが次元の歪曲に飲み込まれました。しかし、多元世界誕生からは零れ落ち、異世界に閉じ込められてしまったのです」
『それがあの声の主だと、お前は言いたいのか?』氷りついたままのロジャーに代わって、大塚が尋ねた。『何故、その親子だとわかる? 証拠はあるまい』
「ええ。確証はありません」とアイムは、あっさり認めた。「ただ、広い敷地にはバラばかりが植えられ大変見目のよい庭園が、かつては存在した、と。そういう記録と遭遇しただけです。家族構成は、両親に兄と妹。あなた方が手に入れた情報とも合致するのではありませんか?」
「そうだ」とも
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