月下に咲く薔薇 22.
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を見、視覚的な意味でもアイム対大塚という構図が出来上がる。
『そうだ。本来、ZEXISとインペリウムは敵対関係にある。ましてや、歌とνガンダムの併用を阻止しようとする者にそれ以上の情報を提供するつもりはない』
「おや。それでは本当に、歌を聞かせるリスクというものに無関心なのですね」
『リスクなど存在しない。する筈がない。何故なら、歌が危険な武器であると言うのと同じだからだ』
ふっ、とアイムが目を細め口の形を整えたまま微笑した。
浮かべた薄笑いをどのように解釈したらよいのだろう。
無知に対する憐憫と共に、それを歓迎する喜びが垣間見えやしないか。指揮官達が決めた再接触は失敗すると、この男は本気で思っているのかもしれない。
もし、大塚に対する反応自体を巧みに偽っているのでなければ。
「ソーラーアクエリオンが持つ神話的能力の一部を掠め取り、敵は5という頸木から解放されました。今では、どれだけの個体をこちらの世界に同時に送り込めるのか。私でも把握する事はできません」
「それが嫌なら、何であの時、奴への攻撃を躊躇った?」ジェフリーが昨夜問いかけた疑問を、改めてクロウも正面からぶつける。「てめぇのアリエティスなら、Dフォルトなんて無いも同然なんだろ? 黙って見てないで、切り刻んどきゃ良かったんだ。てめぇ自身の為にもな」
「あなたを困らせてみたかったのですよ。『揺れる天秤』」
紳士気取りな態度のまま、宿敵が臆面もなく打ち返した。
「それで、てめぇの生気まで吸われてりゃ世話ないぜ。あれか? 利口バカの類か」
クロウは、アイムが一番触れて欲しくないと信じる部分を突いてみた。プライドが高く異界の敵を嫌悪する素振りまで見せるこの男が、敵に自分のものを奪われたと指摘され、更には考えが浅いと一蹴され平素の顔を維持できる筈がない。
案の定、はっきりとわかる程左の目尻が形を歪めた。
「そもそも、歌の話を何処で知った?」
時間稼ぎの中、先程生まれたばかりの疑問を投げつける。
話の流れから察するに、バトルキャンプの中をうろつき聞き囓ったのではないようだ。もし、この会議室に侵入する前に情報収集を行っていれば、少なくともクロウの体内にある異物の噂は掴んでしまうだろう。
ドアの外から、幾人もの乱れた足音が聞こえてきた。
突然の変化は、窓外にも現れる。
バトロイドに変形したアルトのメサイアが、カトルのサンドロックと共に実剣を構えた。
バトロイドの手に握られているのはアサルトナイフ、サンドロックはヒートショーテルで、発光していない事からいずれも攻撃力は最小に抑えてある。建物と中にいる人間に最大限の配慮をしつつも、侵入者を確実に牽制しようとの意図が見て取れる。
更にその外側で、ZEXIS機は囲みを作り始めていた。桂のオーガスとアテナの
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