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逆さの砂時計
孤独を歌う者 5
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だろう。だが、不思議と噛み合う。
 それが微妙に可笑しくて、ほんの少し口角が上がった。
 神聖さをかなぐり捨てて泣きじゃくるアリアの頬を左手で包み……
 「契約を、変更する」
 薄緑色の閃光がアリアと俺の体から渦を巻いて立ち昇り、空を穿つ。
 波紋を描いて世界中へ拡がったそれは、アリア色の淡く光る雪となって、柔らかく舞い落ちる。
 「新しい契約だ。お前は世界に償い続ける。方法は自分で考えろ。俺はお前を影で支えよう。「創造神アリア」は伝承と宗教にのみ姿を残して消える。どうしても護りたいなら、手が届く範囲だけ……背負える分だけ背負えば良い。欲張るなよ、アリア」
 「レゾ……」
 信仰心で力を高める仕組みを壊した。今後信徒がどれだけ増えても、増幅はされない。
 「……はい」
 アリアが頷いた瞬間、光る雪は完全に消えた。
 現状は一切変えないままで残す。
 こうしておけば、アリアは自分の過ちと向き合い、受け止め続ける事になるだろう。
 「扉のマリア。この器もお前に返す。鍵が望んだ通り、鍵の意思は破壊した。二度とお前には関わらないと鍵の意思に誓おう。元に戻りたいなら戻すが」
 ブローチを両手に抱えてじっと俺を見ていたマリアは、暫くの間アリアの様子を見て……首を横に振った。
 「いろいろ問題を放置しちゃうけど、仕方ないわね。アリア、貴女に私の本体を預けます。私にはフィレス様に造ってもらったこの実体があれば良いわ。どうしようもない時にだけ、私を呼び戻して。貴女ほどの力は無いけれど、何かの役には立つかも知れないわ。それに……」
 「……それに?」
 一旦言葉を切ったマリアは、幼い自分の体を見てから俺を見て、半眼になる。
 「……守備範囲外でしょ?」
 ………………信用はされていないらしい。これも当然だな。
 だが
 「外見はどうでもいい」
 鼻で笑ってやったら、ひっ! と肩を竦めてフィレスの背中に隠れ、猫のようにシャーッ! と威嚇する。
 ……なるほど。マリアにはこんな一面もあるのか。知らなかった。アルフリードの記憶にも無い表情だ。
 猫耳と仕草が妙に似合っていて、面白い。
 「ならば俺も、この体をマリアとは別の空間に封じよう。一緒にしておくのは鍵の望みに反するからな」
 「レゾ」
 心許ないと顔に書いたアリアを見下ろし……マリアの器と一緒に腕の中に閉じ込める。
 「俺はお前と共に在る。必要があればいつでも呼べ」
 ともすれば、こうして二人を抱いていたのはアルフリードだったかも知れない。その可能性を潰したのも俺だ。
 栓無い思考だが、考えないのも……違うのだろう。
 「……これで良いのか?」
 クロスツェルに目を向けるが、微笑みは変わらない。自分で考えて決めろと言いたいらしい。
 ついさっきまで橙に近く見えて
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