孤独を歌う者 5
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るんです。被害者達の怒りをぶつける標的として永久に存在し続けるんです。勿論、反論も反撃も許されませんよ。助けを求めたって誰も助けないし、求める事すら許されません。居場所なんて何処にもありません。精一杯、喪失感と無力感と孤独に泣き喚いてください。それらは総て、貴方達が被害者に与えたものですから。死が苦痛の対価とか、命を舐めるのもいい加減にしてくださいね。本当に腹立たしい。生も死も救いじゃないんですよ。未来を託すとか、都合が良すぎる責任転嫁は、迷惑極まりないのでお断りします。自分の行動の責任は自分で果たしなさい。……ああ、解りやすく簡単に纏めましょうか?」
アリア以外の呆気に取られた視線が集中する中、クロスツェルは更に笑みを深め
「生きて」
『生きて』
マリアの記憶に刻まれたアルフリードの最後の笑顔が……喪われた筈の、太陽ほどに眩しい金色の笑顔が、クロスツェルの微笑みに重なる。
「お前は……誰だ?」
「私は私です。他の誰でもありません。私よりも気にするべき相手が居るでしょう。いつまで無視するんですか」
クロスツェルの静かな目線が、震えている女神を示す。
俯くアリアに目を向ければ、ぼたぼたと落ちる透明な雫が、三人の衣服を濡らしていた。
「アリア……」
俺の声に反応したアリアの肩が、ぴくりと小さく跳ねる。
「…………もう、嫌、なの」
喉が引き攣っているのか、声が掠れてる。
喋り方からしても、此処に居るのは間違いなくアリアだろう。平穏な世界を望んで真逆の道を進んだ、愚かで可愛らしい、偽りの創造神。
「せっかく、仲良くなった……動物……も、人、も……みんな、死んで、しまうの……。殺されて……もう、いやっ! 誰も殺さないで! 誰もそんな風に死んでいかないで! 貴方達まで私の目の前で殺し合わないでよ、お母さん! ……お父さんッ!」
勢いよく上げた顔は、元が誰かも判らないほど悲痛に歪んでいる。俺の力に気付いてから常に冷静を装っていた賢さや健気さは、欠片も残ってない。
「殺し合っているように見えたのか?」
「お母さんを殺そうとしたじゃない! お父さんも自分を殺しそうになってたじゃない! 止めてよ! 私が二人を殺すなんて、絶対に嫌!!」
……ああ、そうか。そういう見方もあるのか。
実際には俺が使ったとしても、アリアとの契約で得た力はアリアの物。
広い目で見れば、アリア自身が俺達を殺す事になる。
「嫌か?」
「嫌よ! 当たり前じゃない!」
「……そうか」
人間年齢で言えば大人と呼んで当然の域を超えているのに、アリアはまだ小さな子供のようだ。
嫌だ嫌だと喚く姿は……よく、似ている。
「当然か」
「そうよ! 当たり前よ!」
「……そうだな」
示す意味はズレているん
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