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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第209話 最初の一歩
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た 眼光が真っ向から、遠藤に放射した。
正直な所、遠藤は以前の事もあり、今度は本当に自分自身の
心的外傷
(
トラウマ
)
でもある例の
アレ
(
・・
)
を持ってくるだろう事は、予想出来ていたのだ。
そして、予想を裏切る様な事はなく、遠藤は大量のマスコット類がジャラジャラとぶら下がる通学鞄から、凡そ そんな鞄に入っているのはそぐわないであろう黒く大きな物体。黒い
自動拳銃
(
オートマチック
)
を取り出していた。ある種のブラックユーモアさえ感じられるここまでの流れだった。……遠藤は、覚束無い手つきで、女の手には 扱うのは大変そうな大型拳銃のモデルガンを両手でしっかりと握って、詩乃につきつけた。
「これさぁ、ダンボールとか穴あけられるんだぜ。絶対に人に向けんな、って言われたけどさぁ……、朝田は平気だよな? 慣れてるもんな」
詩乃の眼は、自然に黒い銃口に吸い寄せられていた。
予想をしていたとは言え、つい数日までは 悪夢の象徴でもある
拳銃
(
モノ
)
だったのだ。人間と言う身体は そう簡単には出来ておらず、たちまち記憶の奥にまだ僅かに燻っていた最後の残り香、とも呼べる黒い炎が詩乃の心臓の鼓動の動きを早めた。
だが、詩乃はその鼓動が早くなった瞬間に、奥歯を噛み締めた。
まだ、背中には温もりがしっかりと存在している。
――
詩乃
(
シノン
)
の闇は、オレが封じよう。
あの時の声と共に。
「泣けよ朝田。土下座して、謝れよ。あん時の分もよぉ。……じゃねぇとほんとに撃つぞ、てめぇ」
直接、実際にモデルガンを篠の左脚に向けて ニヤリと笑う遠藤。人に向けて撃つのは初めてなのだろう。その肩から腕にかけて小さく震えていた。だが、緊張をするのは最初の一発のみであり、二発目からは躊躇わなくなるのが実情だ。
そのまま、一発目のトリガーを引こうとしたのが詩乃にははっきりと判った。……が、弾は出なかった。
「っ!? クソッ、何だよこれ!!」
二度、三度と撃とうとするが、プラスチックの小さな軋みが聞こえるだけで、トリガーも引けなければ、モデルガン用の弾丸であるBB弾も発射される事は無かった。
詩乃は、勿論その現象も理解をしていた。大きく、それでいて 相手に気づかれない範囲で息を吸い込むと、お腹に力を込めつつ、鞄を足元におろし、両手でトリガーに指をかけている遠藤の右手首を強く、左手の親指で押さえ、握力が緩んだところを、右手で銃を奪いとった。 実際にここまで大きなモデルガンを触ったのは初めてだったからか、ずしりと重く感じていた。
「1911ガバメントか。お兄さん、渋い趣味ね。……私はどちらかといえば、これより大きくなっちゃうけど、
デザートイーグル
(
マグナム
)
とか、かな。……ガバメン
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