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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第209話 最初の一歩
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威圧だといえるだろう。そう、以前までの詩乃なら……の話だ。連中もそれは重々思っている様であり、そのまま続けていた。

「別にいいよ。トモダチなんだから何言っても。そんかしさぁ、あたしらが困ってたら助けてくれるよな? つうか、今超困ってんだけどー」

 それを訊いた他の2人は まるで打ち合せでもしていたのか? と思ってしまう程 タイミングよく、短く小さく笑っていた。

「ま、とりあえず、二万でいいや。貸して。いや 寧ろちょうだい。あん時、あんたの王子様? に手ぇ上げられたしぃ。慰謝料って事で」

 その言葉は、まるで『消しゴム貸して』『シャーペンの芯、ちょうだい』とでも言う時の様だ。……それに、あの時(・・・)と言うのは 勿論 隼人と詩乃が初めて現実で出会ったあの時の事だ。

 隼人も あの時出会った《朝田》と言う少女が、《シノン》であり、《朝田詩乃》である事は、何処かで判っていたらしい。……斯く言う詩乃も、時折 隼人の、……リュウキの発言の中に思わせるモノがあったから、早い段階で それを思い描いていた。
 それが当たっていた事への感激は、落ち着いた時にひっそりと詩乃の中でしていたのは、こちらの話だったりする。

「前にも行ったけど、あなたに、お金貸す気はない。……それに、アレは正当防衛だと思うけど。……出る所に出てもいいけど。私、証言するよ」

 凛とした佇まいさえ見える詩乃の表情と視線を受け止めた遠藤は、眼を殆ど糸の様に細めた。その眼光の奥から、粘り気のある黒ずんだ何かを放射した。

「……いつまでも、チョーシくれてんじゃねえぞ。言っとくがな、今日はマジで兄貴からアレ、借りてきてんだからな。泣かすぞ朝田。それとも、また運良くあのチッサイ オオジサマが来るのでも期待しちゃうか?」

 確かに、隼人は線が細く ぱっと見は 華奢な身体付きな上 可愛らしい、とも取れるその素顔から、遠藤の様に印象をつけてしまう事もあり得るだろう。あのSAOと言うゲームの中に2年もの間幽閉されているから 線が細いのは仕方がないとは思うが、間近で接したら そんな印象は全く無い。寧ろ力強ささえ 醸し出しているのだから。
 本人に簡単に訊いた話では、護身術の類を身に付けていると言う事。……深くは詩乃は追求しなかったけれど、何か理由があって 隼人は 身に付けたのだと言う事は判っていた。だからこそ、あの時 遠藤を軽くあしらい、更に 錯乱していたとは言え、男の恭二の特攻も軽くあしらう事が出来たのだ。

『もしも、ここに隼人がいたなら、絶対に遠藤は強気では来られないだろうな』

 と何処かで考えつつ、詩乃は間を置かずに。

「……好きにしたら(別に、王子様じゃ……っ)」
 
 詩乃の眼の奥には、決して揺るがず、臆さない決意と淡い想いが同居し
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