黒と繋ぎし想い華
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で変わらない。
綺麗な笑顔だった。
俺達徐晃隊が最期に浮かべる笑顔。
後悔なんざ一つもしてない、生き抜いた証。
もし、生きてればなんて戯言だ。
もし、助かればなんて侮辱に等しい。
もし……戻ってくるならなんて……思えるはずもない。
例えやり直しが出来るとしても、俺達はソレを望まない。
あったはずの幸せなんざクソ喰らえだ。
救えなかった。救われなかった。でも……世界は続いてる。
こいつらは俺達にこの世界の平穏を任せた。
こいつらが命を賭けた意味を……無価値になんざさせるかよ。
空を見上げた。
雲一つない青空だった。
ああ、雲なんざいらない。
俺達は彼と共に駆ける天に、約束を交わす。
「“忘れんな”! 副長と最精鋭は皆、御大将と共に居るっ!
“忘れてなんかやんな”! 俺らはこいつらと共に世に平穏を作るんだっ!」
哀しい。苦しい。痛い。辛い。
残された俺達はいつだって心に傷が増えて行く。
でも、死ぬ奴等は一人だって後悔していない。
生き抜いた奴等が繋いでくれたから、俺達はまだ戦える。
皆の一番の願いは自分が幸せになることなんかじゃねぇんだ。
俺達は想いの華を託された。
後悔するくらいなら、前を向いて笑え、俯いてたら綺麗なもんも見れない、御大将と一緒に作る平穏な世を、しっかりと見ろって。
きっと副長ならそう言うんだ。
けど……今くらいは……お前の為に泣いたって、いいだろ?
†
幾度幾重の剣戟を避けるも、やはり凡人には限界があった。
都合よく誰かが助けてくれることなどなく、都合よく想いの強さだけで圧倒的な差が埋まるわけもなく、目の前に塞がるのは生まれ持った才能という高い高い壁。
自負はある。目の前の将よりも努力をしてきたと、部隊長は確信している。
「っ……がぁっ!」
それでも……血反吐を吐き、命を賭けて尚届かない高み。あれだけ努力しても足りない。これだけ頑張っても足りない。
横なぎの一閃をついに躱しきれず、受け流すことも叶わず、どうにか防いだ剣と槍ごと、身体が吹き飛ばされた。
人は平等などでは無い。
現代で社会的な権利が平等に与えられていようとも、生まれや才能の差は絶対にある。
追いつきたい、追い越したいと願うから人は成長出来る。
負けたくないと思うからこそ人は強くなれる。
ただし、才持つものはいつだって、凡人を嘲笑うかのようにその努力を軽々と飛び越えて行く。
――ちょいと、訓練が足りなかったかねぇ……。
一撃をまともに受けただけで笑う膝を叱咤しながら、部隊長は緩く笑った。
理不尽だ、とは言わない。それを言ってしま
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