黒と繋ぎし想い華
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ああ、そうか……そりゃそうだ。黒麒麟と共に戦う鳳凰なら……此処で俺らを戦場に向かわせる。当然だ。それでこそ……俺達の軍師様なんだからよ」
理解する頭に反して、誰もが歯を噛みしめた。
あいつが生きてるって分かってるのに、俺達が助けに行けない……それがこんなにも……
「じゃあよ……お願いだ。誰でもいい……あいつを……周倉を、俺達の副長を……探してくれ」
握った拳から血が滲む。
やっと紡いで夏候惇様を見つめると、悲哀の色が瞳に濃くなった。
「すまん、それも出来な――――」
「いいでしょう」
その声は、凛……と鈴の音の如く。
ゆっくりと歩み来る少女は少女に非ず。孫権と相対した時の御大将と同じ程の覇気を纏った覇王が、現れた。
「か、華琳様っ?」
「そんなに多くは動かせないわよ? 作戦行動の時間に余裕がある将とその部下百人を動かしましょう。出来るわね、春蘭?」
「……いいんですか?」
「ふふ、やっぱり行きたかったの?」
「そ、それは……」
愛しきモノに向ける慈愛の瞳で夏候惇様を見た覇王の言葉に、俺達の心は驚愕に染まる。
それを感じ取ってか、覇王は小さく鼻を鳴らして俺達をぐるりと見渡した。
「安心しなさい。徐晃の絶望を少しでも減らしたいと願ってるこの子が、必ずあなた達の右腕を見つけて来てくれるわ」
「ち、違いますっ! 私はこいつらがあまりにも必死だから――」
「素直じゃないわね。まあ、そういうことにしといてあげる」
「うぅ……そんなんじゃないんですよぅ」
顔を真っ赤にして俯く将軍は、想いを読み取られて恥ずかしげ。どっと安堵が噴き出る。夏候惇様も絶望に堕ちた御大将を想ってくれてるって理解出来たから。
それなら、この人に任せてもいいと、俺達の心は一つだった。
「どうかよろしくお願いします……夏候惇様」
「副長は死なねぇ。俺達の中でも最強のあいつが死ぬわけねぇ」
「それに御大将が壊れない為には副長も必要なんだ」
「頼んます……」
一斉に頭を下げ、返答を待つこと幾分……大きなため息を吐いた覇王から声が流れた。
「あぁ、そういえば私も行くわよ?」
「華琳様ぁっ!?」
「あら、不満? 私と一緒じゃいやなの?」
「いえっ、そういうわけではないですが……」
「大丈夫よ。あの子達なら私の指示以上の成果を上げてくれるでしょう。これ以上話してる時間も勿体ない、直ぐに準備するわよ」
「う……くぅぅ……貴様ら、私と華琳様がわざわざ行くのだ! 戦場でしっかり働かなければ許さんからな!」
踵を返した覇王と大剣の二人の背を見送って、俺達はトンと胸を一つ叩く。
「乱世に華を、世に平穏を」
任せられたのなら、俺達は俺達の仕事をするだけだ。約束を上げた、
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