第二十一話:夕飯前の出来事
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へシフトした。
だってコイツ…………半袖のシャツ “しか” 着てねぇんだよ。
普通は誰だってツッコむだろうが。
「……?」
オマケにサイズが合っていない所為で、首を傾げると引っ張り上げられぎりぎりの際どい恰好になってしまう。
頭痛が三度発生し、額を押さえながら俺はマリスを指差した。
「買ってきた服があるだろうが……それを、何で着ない?」
そう。
もう忘却の彼方になりそうだが、俺達は別段戦う為にムトゥーヨガード堂へ向かったのではなく、本来は服を買いに行っていた。
ロザリンドとの戦闘を得て元の服が一部ボロボロになっているので、このタイミングで服を買えたのは幸運だったと言える。
なので……いざこざでは済まないレベルの諍いこそ起きたものの、服自体は無事に持ち帰る事が出来た為、着る服が一着もないという事態は起き得ない。
だから目の前に状況も有り得ない。
有り得ない筈だろうが……。
「……『男は皆、裸シャツが好き』という知識がある……だから、円満な関係を築く為」
「俺は好きじゃない。だから買ってきた服を着てこい、マリス」
何処で得たのか心底要らない知識をバッサリ切り捨てさせてもらい、未だ俺を見上げたままその場から頑なに動かないマリスへと、テーブルへ置かれたままな服の入った袋を投げつける。
「……麟斗、私は本当は裸じゃない」
受け取るや否や、何やらボソボソ語り始めやがった。
「……楓子から借りた、下着を付けている」
「…………だからなんだ」
「……がっかりした?」
答え代わりに脳天目掛けて、力を込めた手刀を落としてやった。
叩いた手が久しぶりに痛かった。
……本当に、クソッたれな一日だ……。
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