第二十一話:夕飯前の出来事
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エンジェリックオーラ》の防御力も歓迎できるが、向こうも条件は一緒。
そうなると途端に憎らしく思えてきたな……。
……いや、今はそれどころじゃないか。
「その間に俺が風呂を沸かしとく……だからまず汚れを落とせ、マリス」
「……ん……有難う、麟斗」
言葉とは裏腹に、表情は頑なに “無” のまま固定されている。
初見なら、まず間違いなく微妙な心持になるぞ……。
「ギャッ! メールの受信履歴『51』に対して、送信履歴が『7』って!? しかも内容が簡素すぎるし、ほぼほぼパパママか理子さんだけ!?」
「……オイコラ、何勝手に覗いてやがる」
「しかもあたしからのメールは開いてもいない……数も合わないから、数通はゴミ箱行きが確定だし……うぅ、グスン……」
よく分からない理由で落ち込む楓子を居間に残して、予め洗い終えていたらしい浴槽に湯を張る。
溜まるまで待つ傍ら、水でも飲んで落ち着くべく台所を経由して居間に戻る。
何時の間にか、お茶を用意して二人とも寛いでいた。
「……で、御袋達と連絡取れたか?」
「うん。だいたいは書置きの通りだって」
「……だいたい?」
「久しぶりの二人きりだからデートして帰ってくるってさ」
あの惚気共……コッチが必死になっているって時に、よくもまぁそんな予定を組めたもんだ。
「ロザリンドとの……決闘に関しては?」
「頑張れってさ」
…………この野郎……。
何か声を掛けてくれるかと思えば、結局お袋達は居ても居なくても、此方(主に俺)に苦労を与えるだけの存在だと分かっただけじゃねぇか。
たった一つの連絡から、分かりたくもない事が分かっちまった……。
御袋も親父も、力があるなら手伝いやがれってんだ。
それも数少ない作戦のうち一つに入れていたのに、帰って来てから行き成り“パァ”だ。
「チッ……こんな時に」
態々口に出さなければ、このイライラは収まりそうもなかった。
こんな俺とは裏腹に体操楽しげな楓子の背中を見送る事はせず、早々目を背けて台所へ向かう。
料理自体は作れるのだが、それも目玉焼きにチャーハンなど簡単な料理ぐらいしかできず、俺は味覚も狂っているのでレシピを見ないとトンでもない事になりそうだ。
なのにこんな時に限って卵や主な具材は無いし、レシピが何処にあるかも分からない。
考えた挙句俺が選んだのは、誰が作っても(バカみたいに調味料を入れない限り)同じ味にならざるを得ない『レトルトカレー』及び『レトルト丼』。
これならば俺のクソみたいな味覚でも、問題無く作る事が可能だ。
念の為なのか白飯は炊き置きしてあったし、尚更御誂え向きだろう。
当然ながらそ
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