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中秋の名月をみて思い出す
中秋の名月 秋の夜
[前書き]

[1]本文
失恋の傷を知性で癒せるくらい賢くなれれば損ないのに。悪いことに失恋の傷は考えれば考える程こんがらかっていくもにであるのに。しかし残念にも、心の傷は知性では癒せない。考え方を変えてみれば傷が癒えるなどありえない。傷は傷である。よく陥った精神病から立ち直るのに脳に作用する薬ではなくゆっくりとした時間を必要とするのはそれを示す。
ここで私はなにが人に幸運を与えるのかを仮説立ててみる。世界を統べる一つの真実というのがあるならそれはまったく知っても知らなくても人の幸せには関係ない。
昔は地球は丸いという真実によって十七世紀の常識は覆されたが、今では世界が本当は三次元ではない、という真実によって常識が覆されようとしている。昔の人は地球が平らで滝のようだと信じていたとしても今と同じようなことで悲しみもし喜びもし、幸せが何たるかを悟りもしたであろうから。
今、中秋の名月が空を照らしている。心憂えるその影も照らしだすなら、遠い昔を思い起こそう。中秋の名月をみて思い出す。今の自分がここにあるのであれば思い出はかけがえのない財産だろう。私の経てきた体験というのは宝石の原石に過ぎない。それは磨けば宝石になる。私は人生を宝石で散りばめたい。



[1]本文


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