第一部
第二章 〜幽州戦記〜
五 〜極限の戦い〜
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っつければ、ご飯が食べ放題なのだ!」
「やれやれ。鈴々ちゃんはそればかりですねー」
「そう申すでない。酒も手に入るのだ、一石二鳥ではないか」
「星まで言うか。全く、我が軍は何故にこのような……」
全く、仲がいい事だ。
「風。噂の方は流し終えているな?」
「はいー。二日かけて広めてありますから」
「お兄ちゃん、何をしたのだ?」
「うむ。我らが千足らずの兵力で、攻め寄せる事を広めさせたのだ。降伏して、解き放った賊を使ってな」
「ご主人様! それでは、わざわざ敵に情報を与えたようなものではありませんか。ただでさえ、我らは劣勢なのですよ?」
「落ち着け、愛紗。主が何の考えもなしに、そのような真似をする筈があるまい?」
「星ちゃんの言う通りですねー。まず、向かってくるのがもし官軍だったり、数が自分達よりも多い、と知ったら、賊はどうすると思いますか?」
「私ならば、まず様子を探らせる。迂闊には仕掛けられん」
「では、逆に今の我が軍の状態を、ありのまま知ったとしたら、どうですか?」
「一気に打って出て、追い散らすまでだ」
きっぱりと、愛紗が言う。
「そうなのですよ。でも、率いるのは将とは言っても賊ですから、きっと侮っている筈です」
「……なるほど。それならば、全軍ではなく、一部を差し向けてくる可能性がある、と」
「そうだ。だが、それならば少数でも対抗出来る筈だ」
「でもお兄ちゃん。一部をやっつけても、まだまだたくさん残ってしまうのだ」
「その通りです、鈴々。ですが、少しでも警戒されてしまえば、その時点でこちらは終わりです。まずは、敵を引きずり出して叩き、その上で策を講じるのです」
「うー、稟みたいに難しい事はわからないのだ……」
「とにかく、明日までに勝負をつける、それが全てだ。稟、では各将に指示を」
「わかりました。鈴々、二百の兵を連れて、敵陣の前に出て下さい。必ず、副将のケ茂は打って出るので、何とか討ち取って欲しいのです」
「了解なのだ!」
「その後で、程遠志が全軍でかかってくるでしょうから、一当てしたら、算を乱して逃げます。星は、兵二百を連れてこれを待ち伏せ、挟撃して下さい」
「承知した」
「愛紗は、混乱に乗じて、残りの百名を率いて、程遠志を討って下さい」
「うむ」
「私と風は森に潜み、銅鑼や鐘を鳴らします。そして、頃合いを見て、朱儁将軍から借りた旗を立てます。もちろん虚兵ですが、敵に混乱を引き起こすのが狙いです。これは、志願してきた黄巾党の者を使います」
「稟、私はどうする?」
「歳三様は、私達の警護を願えますか?」
「わかった。では皆の者、頼んだぞ」
「御意!」
「黄巾党、出てこいなのだ!」
鈴々の声が、夕闇の中に響き渡る。
それを合図にするかのように
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