第一部
第二章 〜幽州戦記〜
五 〜極限の戦い〜
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はそうした連中を相手に戦っている。
そして正規の方法で調達するのは、ほぼ不可能。
……ならば、答えは一つだな。
「稟、風。今一度、このあたりの黄巾党について調べて欲しい」
「御意」
「了解ですよー」
その夜。
私の天幕に、皆を集めた。
そして、もう一人。
降った黄巾党の中で、面構えが違う者がいた。
それに気づき、連れてこさせたのだ。
「あ、あの。俺に何の御用で?」
髭面に似合わず、男は不安げに私を見る。
「心配するな。お前に聞きたい事があるのだ」
「へ、へいっ!」
「まず、名を聞かせて貰えぬか?」
「俺は、廖化、字を元倹と言います」
廖化……そうか。
確か、彼も後の蜀将の一人。
「では廖化。私がこの義勇軍の指揮官、土方だ。こちらが軍師の郭嘉と程立。そちらは武将の関羽、張飛、趙雲だ」
「よ、よろしくお願いしやす。それで御大将、俺に何をお聞きになりたいので?」
「うむ。まず、お前もこのまま我が軍に加わりたい。それに相違ないな?」
「ありやせん。流浪の末、食い詰めて黄巾党に身を投じちまいやした……最近はどうもいけねぇ。無闇に人を殺す、女を犯す、食料や金を奪う。正直、嫌気が差していたところで」
「なるほどな。ならば、知っている事を、私に話して貰いたい」
「へい。俺の答えられる事であれば」
「よし。まず、程遠志、という者を知っておるか?」
「へえ。大賢良師から、五万の兵を与えられ、幽州に向かっている将でさあ」
「ふむ。他に将は?」
「副将がケ茂。後は知りやせん」
ほぼ、うろ覚えな私の知識と同じ、か。
「廖化」
「へい」
「我が軍は、この程遠志を討とうと考えている。どうだ、協力せぬか?」
「し、しかし御大将。俺もさっき言った通り、奴は五万からの兵を抱えていやすぜ?」
「わかっている。だから、お前の協力が必要なのだ」
「…………」
廖化は、考え込んでいる。
「勝算は、ありなさるようで」
「うむ。お前の協力さえあれば、確実に勝つ」
淀みなく、私は断言した。
「……わかりやした。俺でよければ、使ってやって下せえ」
そして二日後。
我軍は、大興山なる山を望む場所に布陣。
「では廖化。頼むぞ」
「へい。お任せ下さい」
私の命じた通り、廖化は動き出す。
「主。果たして上手く行きますかな?」
「大丈夫だ。あの男ならば、心配要らぬ」
「ご主人様。何故、そこまで自信がおありなのです? あの男も、元々は賊ですぞ?」
「愛紗。お前は、私の策に反対なのか?」
「い、いえ……。ただ、民を苦しめていた男を、あのように信用なされてよいものか、と」
愛紗の心配は、わからぬでもない。
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