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101番目の舶ィ語
第十七話。再戦の刻
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、お前ら」

そう、命まで奪う気は初めからなかったのだ。コイツらは。
やろうと思えば出来たのに。コイツらからは悪意や殺気といったような人に害をなす感じは感じられなかったからな。

「む……」

「チッ……」

「人の物語を無理矢理奪うってのはあんまり褒められた事じゃないけどさ。でもある意味『主人公』なんて多かれ少なかれ、他人の物語を無理矢理終わらせたりするような奴だからね。だから、それに関しては別に悪いことだとは思わないさ、俺は」

それにコイツらは、最初から正々堂々と現れた。
正面から戦いを挑んできたし、罠にかけるようなこともなかった。

「俺はこの街……ってより、友人とか、家族とか、大切な人達を守りたいんだよ。怖がらせるだけで害を与えない『ロア』やハーフロアならいいけど、命を奪ったりする危険な『ロア』から。だけど、俺一人じゃ絶対に手が回らないだろ? だから、一緒に街を守ってくれる『主人公』仲間が増やせたらいいなー、って思ったんだ」

これが、『俺』の本心だ。
戦いたくない、という気持ちも未だにあるが。
俺には、俺達には戦う力があるのだ。
せっかく戦う力があるんだ。だったら悪意があるロアを退治するのが本来の『主人公』の役目だろ?

「……ふむ」

頭ごなしに否定されるかと思ったが、氷澄は考え込むように顎に手を当てる。

「ケッ、何を言うかと思えば……ンなこと、当たり前だろうがァ!」

ジーサードは悪意あるロアから街を守るのは当然といった感じで腕を組む。
……というか、ジーサード。
ツンケンしてるが、やはりお前ツンデレだろう。

「氷澄、向こうの小僧の方がお主よりも何倍もちゃんと主人公っぽいぞ」

「うるさい、黙っていろライン。ああいう主張は、甘いから出来るものだ」

「お主だって充分甘いくせに。追いかけずに、リベンジの機会を与えるためにこの雨の中ずっと待っているなどを甘さ以外の何物でもあるまいて」

「ばっ……こらっ、バラすなライン!」

「ほっほっほっ」

あ、やっぱりこいつら、いい奴なのかも。
実を言うと、さっきまでコイツらの事は許せなかった。
一之江を傷つけ、俺の物語を奪おうとしている奴らだからだ。
だが、今こうして接してみると。
コイツらにはコイツらの事情があって、やむなく戦っているというのに気づいた。

「一文字疾風。貴様の主張は……」

「っ?? 今、なんて……?」

「何だよ、今度は」

「ちゃ、ちゃんと名前で呼ばれたっ」

「うん?」

と氷澄。

「は?」

とジーサード。
二人は訝し気に俺を見る。

「いや、周りに何度言っても、みんなモンジモンジ言うから嬉しくて」

「ああ______うん、いや、そうな
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