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神の贖罪
13部分:第十三章
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第十三章

「全ては終わったというのにまだ」
「やることがあるのか」
「あるではないか」
 静かに微笑んで弟達に告げるブリアンだった。
「確かにな。それは」
「ああ、それか」
 まず気付いたのはヨッハルだった。
「そうだったな。全てが終わればまずは」
「そうだ。やることがある」
 ブリアンは彼に対して告げる。
「我々にはな。そういうことだ」
「全くだ。その通りだ」
「!?何なのだ」
 ヨッハルヴァは兄達の話を聞いても訳がわからず思わず問うた。
「一体何があるのだ?最後に」
「豚の皮を出せ」
 まずブリアンはこれを出すように言った。
「そして水瓶という水瓶に皮を入れていくのだ」
「ワインを造るのか」
「これは欠かせない」
 断言だった。
「まずはな」
「まずはそれか」
「そうだ、そしてだ」
 ブリアンはさらに言う。
「七頭の豚を料理して子犬は手当たり次第に獲物を手に入れる」
「次は肉!?」
「最後に林檎を出す」
 黄金の林檎のことだった。
「これでいい。これでな」
「宴でも開くのか?
 ヨッハルヴァはまた首を傾げさせて兄達に尋ねた。
「我等で」
「我等だけではない」
 ブリアンはヨッハルヴァに対して告げた。
「それだけではない。つまりだ」
「あっ・・・・・・」
 ここでヨッハルヴァもやっと気付いたのだった。
「そうか、そういうことだな」
「やっとわかったな」
「ああ。皆でだな」
 ヨッハルヴァは兄達に対して話す。
「そうだな。皆で」
「龍もいるからな。幾らあっても足りないぞ」
 楽しげに笑って弟達に告げていた。
「酒も肉もな」
「酒は足りるのではないのか?」
「いや、わからぬぞ」
 ヨッハルが笑顔でヨッハルヴァに告げる。
「実際のところな。何しろ人も多い」
「そうだな。確かに」
「だからだ。早速準備に取り掛かるぞ」
「うむ、わかった」
「しかし。こうなるとは思わなかったぞ」
 ヨッハルはここで満足さと苦さが混ざった複雑な笑みを見せた。
「最後の試練が宴だったとはな」
「だが。これはこれでいいではないか」
「それもそうか」
 ヨッハルはすぐに兄の言葉に納得した顔で頷いた。
「これまでの長い旅の目的が終わり」
「力を貸してくれた者達への御礼だな」
「御礼ならば拒んではならぬ」
 ブリアンは二人の弟達にこのことを告げた。
「我がトゥアハー=デ=ダナーンの住人ならばな」
「そうだな。それではだ」
「最後の最後だ。ここは」
「楽しくやるぞ」
「うむ!」
 三人は互いに笑顔を浮かべて頷き合った。こうして最後の祝いの宴を力を貸してくれた者達と共に楽しむのだった。長い旅の最後の美酒と美食、そして旅の中で巡り合った者達と共に楽しむ悦び。そ
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