7部分:第七章
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第七章
「この薬なんですよ」
「そうなのか。これで」
「はい、そうです」
また明るい顔で言うアッディだった。
「助かりましたね」
「そうだね。有り難う」
ここで礼を述べたサルミネンだった。
「おかげで助かったよ」
「御礼は村の人に御願いします」
彼ではないというのである。
「そちらに」
「そうだね。それで」
「はい」
「この病気は何なのかな」
今度はそのことについて首を捻った彼だった。そのうえでさらに言うのだった。
「一体」
「そうだよね。何かな」
塚本も首を傾げてこのことを考えるのだった。
「この病気は一体」
「見たこともない病気だけれど」
「ここには昔からある病気ですよ」
アッディはその二人にこう述べたのだった。
「昔から」
「昔からあったのかい」
「こんな病気が」
「はい、ありました」
彼が言うにはそうなのだった。
「それが知られていなかっただけです」
「知られていなかったのか」
「こんな病気が」
「大抵の人はかかってすぐに死ぬので」
だからだというのである。
「それでなんですよ」
「すぐ死ぬって」
「薬を飲む前にかい」
「マラリアか何かと思ってそっちの対処をするんで」
それでだと答える彼だった。
「それで死ぬんですよ」
「それでなのか」
「似てないわけじゃないですけれど違う病気なんですよ」
「そうだね。違うね」
「そこが大事なんです」
アッディの言葉は真剣なものだった。
「似ているようで違う病気もあるんですよ」
「そうだね。それは」
「確かに」
そのことに頷き合う二人だった。彼等にとっては驚くべきことだった。
「僕も危うく命を落とすところだった」
「アッディの話を聞かないとね」
「今探している水ライオンもそうですが」
アッディはそのライオンのことも話した。
「世の中知られていないことがまだまだ多いのですよ」
「ああ、そのライオンと」
「一緒なんだ」
それを言われるとよくわかった二人だった。彼等の専門だからだ。
「成程、そうなのか」
「そういうことなんだ」
「そうです。そして知ることがまず大事で」
アッディの言葉が続く。
「そして知ってからどうするかも」
「大事だね」
「そういうことだね」
「そうです。まあこの病気のことは」
「うん」
サルミネンは再びアッディの話を聞くのだった。
「覚えておいて下さいね、よく」
「わかったよ、とてもね」
「できれば水のライオンのことと一緒に」
「調べておくか」
「そうだね」
塚本もここで頷いたのだった。
「よくね」
「そうするべきだね」
「それでですけれど」
さらに言ってきたアッディだった。
「今日と明日はゆっくり休んで、ですね」
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