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蚊の毒
5部分:第五章
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第五章

 そしてであった。全く起き上がれなかったのである。それで塚本が世話をしているのだった。
「それにだよ」
「血が出て来ているね」
 サルミネンのそのプロレスラーを思わせる腕から血が滲み出て来ていた。それは決して激しいものではなかったが徐々に出て来ていた。
 塚本はそれも見ていた。それで余計に困った顔になっていた。
「まずいな、これは」
「どうしたものかな」
「ああ、やはりですか」
 ここでアッディが二人のテントに入って来た。そうして言うのだった。
「症状が出ましたか」
「これがかい?」
 塚本がその彼に問うた。
「これがその病気なのかい?」
「ええ、そうです」
 まさにその通りだと答えた彼だった。
「これがなんですよ」
「僕はこのまま死ぬのかな」
 サルミネンは横たわったまま彼に顔を向けて問うた。その顔からは脂汗が溢れ出している。顔も真っ赤で高温がそこからも窺えた。
 その顔で彼に問うたのだ。
「この熱と出血で」
「いえ、大丈夫ですよ」
 しかし彼はこう彼に言うのだった。
「それはもう」
「大丈夫なのかい?」
「ですから。今から行きましょう」
 行くというのである。
「今から」
「行くって確か」
 塚本が昨夜の話を思い出しながら述べた。
「昨日言っていたその村にだよね」
「ええ、そうです」
 まさにそこだというのだった。
「今から向かいましょう。それでいいですね」
「じゃあ頼むよ」
 サルミネンはすっかり弱くなった声で彼の言葉に応えた。
「本当にね」
「はい。さて、それではですね」
 アッディは彼の言葉を聞くとすぐに塚本に顔を向けてきた。そうして言うのだった。
「サルミネンさんをですね」
「ジープの中に運ぶんだね」
「はい、そうです」
 その通りだというのだ。彼の言葉に対してこくりと頷いてみせた。車は街を出る時にフォルクスワーゲンからジープに代えていたのである。
「その中にです」
「うん、じゃあ」
 こうして彼をジープの中に運んでだった。塚本がアッディの案内でその村に向かう。二時間程するとそこに着いた。そこはサバンナの中にある小さな村だった。
 村人は百人程度だった。アッディはその村に入るとすぐに村人の一人に声をかけた。
「あの病気にかかった人間が出たよ」
「あれにかい」
「うん、それで何とかしてもらいたいんだけれどね」
「報酬は?」
「任せてくれ」
 にこりと笑ってその村人に答える彼女だった。
「それもあるから」
「わかった。それじゃあな」
「すぐに頼むよ」
 こうしてその村人はすぐに村の奥に入った。そのうえですぐに何かしら不気味な、何かを煮詰めたかの如き緑色の液体が入った椀を持って来たのであった。
「これです」
「これを?」

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