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ウイングマン バルーンプラス編
4 避難
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やっぱり鍵がないと入れないのか〜、当然よね〜」
久美子は不審な動きを始めた。
エントランスの透明なガラスの向こうから誰か来ないか気にしながら、最初はインターホンをマジマジと見ていた。
「これ押しちゃうと、誰か出ちゃうかもしれないし……」
ピンポンダッシュをする歳でもない。とりあえずインターホンはあきらめて周りに何かないか目先を変えてみた。
「これ、何のスイッチなのかしら?」
エントランスの入り口の横下にある配電盤のようなものを見つけた。
そして、開けてみようと触ってみた。
「あ、開いた」
予想外にも鍵がかかっていなかった。開けて見ると電圧のメーターやスイッチみたいなものがあった。
「これ何かしら」
好奇心から気になって、触ってしまったものが、スイッチのようだった。

「きゃっ!」
駐車場の電気が一気に消えたのだ。
そのことにびっくりして久美子は思わず声を上げた。
でも、それだけじゃなかった。
自分の声と共に別の声が聞こえたような気がした。
聞き違いかもしれなかったが、なぜか確信があった。
その確信は間違いではなかった。
駐車場の隅で、桃子が思わず声を上げてしまったのだ。
「誰かいるの?」
久美子は後ろをおもむろに振り返った。
美紅は、反射的に桃子の口を押えた。
美紅たちがいるところは入り口からもエントランスからも遠く、光もほとんど届かない。
ほとんど真っ暗に近い。
だから、バレないかもしれないという一縷の思いもあった。
久美子の目には人影は見えなかった。
しかし好奇心はくすぐった。
「あれ〜? 確かに声が聞こえたのよね〜」
久美子はさっき迂闊に触ってしまって電気を消してしまったスイッチを押し直した。
駐車場に電気がついた。
美紅と桃子はドキドキしながら息をひそめた。
しかし、久美子の性格から考えれば、こっちに来るのは間違いなかった。


美紅と桃子が久美子の様子を見ていると、久美子は自分たちの方に向かってきた。
「アオイさ〜ん……」
桃子は息をひそめながら、アオイの方を見た。
アオイも久美子が近づいてきていることは気づいている。
「どうする? まだ完全じゃないけど、そんなこと言ってたら布沢さんに見つかっちゃう……」
アオイも久美子の動きに焦り始めていた。

「何か絶対いると思うんだけどな〜」
今までの独り言とは明らかに違った。
誰かに聞こえるように独り言を言っていた。
そして、一歩、また一歩と、久美子はゆっくり美紅たちが隠れている方に向かって歩いた。
一応、警戒をしていた。
ウイングガールズに変身できるとはいえ、さすがに相手の正体もわからないのだ。
迂闊な行動はとれない。
でも、好奇心が勝っていた。
隠れている何者かの正体は暴きたい。でも、危険かもしれない。
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