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ウイングマン バルーンプラス編
4 避難
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美紅も桃子も顔を見合わせた。
「ヤバイよ〜」

久美子は新聞部の習性か、人気のなさそうなところでも何かがありそうな予感がすると、とにかくそっちに行ってみることにしていた。
「特ダネの気配を感じるんだけど……」
ブツブツと独り言を言いながら、駐車場に入るスロープをゆっくりと下っていく。
「こんなところに特ダネなんかあるわけないでしょ!」
アオイはそう叫びたかった。
しかし、特ダネはあった。
今の自分たちの格好がまさにそれだった。
「どんな嗅覚なのよ……」
3人は物音をたてないように慎重に、身を柱の陰に隠した。

学校帰りなのか久美子は制服姿だった。
しかし、当然のように一眼レフのカメラを持っていた。
その姿を柱の陰から確認すると、アオイたちの鼓動は一気に高まった。
久美子はウイングガールズの1人ではあった。
しかし、仲間と呼べるほど彼女との絆は固くはなかった。
久美子は使命よりも特ダネや自分の興味を優先するところがあるのだ。
特にアオイは、その気持ちが浮ついているような気がして、信用できないでいた。
本来なら助けを求めたいところだが、この恰好を久美子の前に晒すのは大きな危険が伴う。今の自分たちの格好は、久美子の大好物である特ダネそのものなのだ。
この恰好を見られたら、少なくとも写真には撮られてしまうだろう。
校内新聞の記事になって張り出されることはないにしても、写真に残される。そんなことはしたくはなかった。
その事態を想像すると、久美子に助けを頼むなんてことは怖くてできない。
「絶対に気づかれないようにしなきゃ」


「特ダネの予感がしたんだけどな〜」
久美子がこの駐車場に寄ったのはなんとなくだった。
「こんなところに何があるなんて思う方がおかしいよね〜」
久美子の独り言は決して大きな声ではなかった。ただ、駐車場のコンクリートに反響をして、聞き耳を立てていた3人の耳にはかなりしっかりと届いていた。
「久美子ちゃん、カンが鋭すぎだよ〜」
桃子は久美子に染みついた記者魂に恐れをなした。
「まあ、一応、見回ってみるか……」
久美子はアオイたちのいる場所とは反対の方向から駐車場をゆっくりと見回りを始めた。
「危ないヤツがいても変身すれば、どうにかできるしね」
ウイングガールズに変身できることで、人気のないところにも進んで首を突っ込むようになったのだ。
「ウイングガールズの力は護身用じゃないんだけど……」
久美子の解釈にはあきれ果てた。

とにかく久美子に見つからないようにしなければならない。
桃子と美紅は久美子の動きも気が気ではならなかったが、アオイのパワーの状況が気になっていた。
アオイはさらに神経を研ぎ澄まし、自分の手のひらを見つめた。だいぶパワーは回復してきているが、まだポドリア
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