第3章 リーザス陥落
第74話 ホッホ峡の決戦V
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ェリスは、光り輝く空を見て そう呟く。
メガネ越しだから、完全な光ではない黒く塗りつぶされかけているのだから。だけど、その片鱗は感じる事が出来た。
「……ほんとにもう、やめてよ。私に沢山くれるの。………私は悪魔、なんだ」
フェリスは さらにそう呟くと……視線を下へと向けてメガネを外していた。
「よしよーし! さあ、次だ! 次が動き始めたぞ」
双眼鏡の角度を切り替えて、次に動かす部隊に焦点を合わせた。
〜ヘルマン軍・本隊〜
先遣隊の現状は勿論、本隊にも伝わっている。今 何が起こったのかも同様だ。
「将軍、申し上げます! 先遣隊との間隙をリーザス軍に狙われ……、現在分断されています!!」
「ぬ……! そうか」
トーマは、眉間にさらに皴を寄せていた。地形的に、この場所での奇襲が如何に効果的であるのか、数の利が活かせないのかを理解していたからだ。
「く……、まさかここで伏せているとは……!!」
「儂らが今日ここを通る事、漏れておったというわけだ」
皴を眉間に寄せつつも、それ以外は表情に出さない様に、と泰然としたトーマだったが、それでも内心では己の失策を感じざるを得なかった。
先遣隊として、先行している最前線のロバート隊は混乱の極みであり、さりとて、本隊が駆けつけようにも、この狭い地形が邪魔をして、思うように進む事が出来ないのだ。
かと言って、機動性を重視した小規模部隊で攻めたとしても、死屍累々となってしまうのは目に見えている。
「……いかんな。こう言う時、前線に折れぬというのは、性に合わんと言うものだ」
トーマ愛用の戦鎚を握る手に、音もなく力が篭る。
それは、側近であるガイアスも同様だった。
「動ける者だけで強引に突入、などと仰いませんように。例の鉄の車も、はやり確認されています。……接近しても、その周囲には 手練が配置されている様で、数を活かせぬ状況ではこれ以上なにも……」
「判っておる。……正面を抑え込まれると突破は厳しいか……」
トーマは、顎に手を当てて考えた時間も僅かだった。
「……少数の軽装兵で部隊を組織しろ。枝道のどこかひとつでいい。抜いて敵側本陣を叩け」
「妙案です。将軍」
「……と言うより、他に手がない。地形の細かな掌握を急がせろ。ここからは、時間との勝負じゃ」
本陣を始め、敵の陣容も明らかではない。遅きに失した予感に、トーマは人知れず、奥歯を噛み締めた。
「(ランドスターの妹も、妙に進言をしておった。警戒をしろ、と。……今思えば、己の情報に自信がなかった、と言う類ではない、な。……ぬかった)」
セピア・ランドスターの情報が今作戦につながったのだ
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