継承編 決起
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は最後のあの時、そう言われたはずだ。その意味を……彼の真意を理解出来ない貴様ではなかろうが!」
「だからって……だからって耐えられるかどうかは別やろ! なんでサバタ兄ちゃんは何も教えてくれへんかったんや! 二度といなくならないで欲しかったのに……! もう離れなくて済むと思ったのに……! なんで、目の前で消えちゃうんや……!!」
「そこはタイミングが悪かったのかもしれんが、むしろ最後に言葉を交わせた事実を大切に思うべきであろう。元々サバタはファーヴニルが現れようが現れまいが、最後は何も言わずに消えるつもりだった……自らに残された寿命では年を越せない事を、世紀末世界から来た時点で既に察しておったのだ」
「そ、そんな……! じゃあサバタ兄ちゃんは……どうして変わらずにいられたんや……?」
「何を言う? サバタは変わったではないか。他者の死を利用してでも目的を果たす“暗黒の戦士”ではなく、失いたくない存在のために自らの命を懸けられる“人間”にな。小鴉、貴様と出会えたからこそ、あの者は変わる事が出来たのだ。その結果、貴様は……いや、貴様に限らず我らもこうして生きていられる……。サバタが“暗黒の戦士”のままであったら、ここにいる者の多くもとっくの昔に死んでいたかもしれぬのだぞ?」
実際、やろうと思えば教主殿は我らを救わない選択も出来た。考えてみればそちらの方がはるかに負担も少なく、効率的で簡単なはずであった。P・T事件の時に当時は幽霊だったアリシア・テスタロッサを宿らせずに消滅させたり、有無を言わさずプレシア・テスタロッサを即座に排除してヴァナルガンドが現れる前に虚数空間の穴を閉ざしたり、闇の書が起動した時に知られざる闇を背負うナハトヴァールをリインフォースごと滅して事無きを得たり、暴走する前にユーリごと我らを闇に葬ったり、アレクトロ社に潜入した時に敵のスナイパーとして相対したマキナを保護せずに倒したり、生きる事を諦めたシャロンを放っておいたり、ファーヴニルの襲撃を自業自得として相手にしなかったりと、とにかく教主殿にはこれまで非道ではあるが、あり得なくもない選択肢が山ほどあった。……にも関わらず、教主殿はそうしなかった。最後まで自分の命を懸けて救い出す、という困難な道を選び、そして成し遂げた。
だからこそ……我らはサバタを“教主殿”として尊敬し、彼から貰ったものを守り続けていこうと思っている。まぁ、教主殿一人で成し遂げた訳ではない時もあるが、どんな状況でも大きな影響を与えた事には変わりない。それで教主殿から教わった事を高町なのはやフェイト・テスタロッサ辺りは既に理解しているが、最も近くにいたはずの小鴉が理解できない、というのは流石に考えられない。それがようやくわかったのか、小鴉はポンコツ騎士が手を離しても暴れ出さず、俯いてポツリと心情
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