私の宝物 超能力 第4話
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第4話
当日、普段この辺では見かけない高級車がバラック建ての家の前に停まった。
富田家が差し向けてくれた車に乗って暗子は緊張していた。まるで自分じゃない衣装に包まれた人形だ。
「あのう運転手さん。前の運転手の方はどうなさっていますか」
「ええ幸い、命は助かりましたが復帰は難しいそうで。でも幸男様が生涯に渡って面倒みて下さるそうで、本当に優しい方ですよ。貴女が幸男様を救われたとか伺っておりますが」
「私はとくに何もしてません。生涯に渡って面倒みるなんて今時、そんな会社はありませんよね。優しい方なんですね」
暗子は幸男って思ったより良い人なのだと思った。お礼のつもりの招待だろうが慣れない場所への招待は一苦労する。母からマナーは教わったが本当にキチンと出来るだろうかと気持ちが落ち着かない。
車は青山通りに差し掛かった交差点、その時だった。予知能力が察知した。信号を無視して飛び出して来た大型トラックに暗子は危険を感じた。今回も予知能力は働いたが遅すぎた。マナーの事で心が乱れたらか? だが想像出来ない事が起こった。
暗子が乗った車の脇に大型トラックが目の前に迫った。運転手は衝突されると目を瞑った瞬間だった。暗子は窓越しから、その車に手で遮るような仕草をした。
すると何故か時間が止まったように、大型トラックはブレーキを掛けた訳でもなく静止した。いや動く物の全てが静止した。いやそう感じたのかは定かではないが。時間が止まったような気がする。
運転手は車が潰されると思いハンドルを握ったまま、眼を閉じて覚悟を決めていた。だが何事も起きなかった。暗子もまさか自分の不思議な力を働いた事を暫く認識出来なかった。
だが交差点周辺に居た人達の数人はそれを目撃した。確かに歩く人も他の車も衝突しそうになったトセックも動く物の全てが止まったような気がしたと、後でそんな証言があった。
「運転手さん大丈夫? 急がないと信号が変わるわよ」
と、暗子が運転手に声を掛けた。運転手は我に返った。何も起きてない事に呆然としていたが再びアクセルを踏んで車は動き出した。だが心臓の鼓動は激しく冷や汗がドッと出ていた。
運転手は暗子の超能力だとは知らなかったが、不思議な能力の持ち主だと聞いていた。当の暗子もこの時点では自分の力と思っていない。今回は予知能力と超能力の組み合わせだ。明らかに暗子の力はパワーを増している。そして何事もなく車は富田家に到着した。しかし事の次第を運転手は主に告げなかった。
心配もするだろうし誰がその奇跡を信じるだろうか。ただ幸男様にだけは伝えなければならない。
現に事故が起きたニュースは報じられず、出くわした人々も記憶か消えていた。
幸男は彼女の超能力に救われたと運転手は密かに聞かされていた。
その力をまざまざと見せつけられ
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