暁 〜小説投稿サイト〜
ぶそうぐらし!
第9話「しゅうかん」
[6/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
が、気づいてくれたらいいんだけど...。)」

  ケータイは通じなくなっていて、ラジオの電波も辛うじて繋がっただけだから、誰も聞いていないのかもしれない。
  一応、3回一時間おきに繰り返したけど、望みは薄いかな...。

「っ....!」

  足がまだ痛む。...走れそうにないかな...。

「(大丈夫...まだ水と食料は残ってる。大丈夫....。)」

  駅になぜラジオで放送できる設備や、非常食が豊富にあるのかは分からないが、これのおかげで今私は助かっている。

「大丈夫...大丈夫.....!」

  ふと、一人の、モールに置いてきた友達と一匹の顔が浮かんだ。

「大丈...夫...な、訳、ないよぉ...!」

  自己暗示のように呟いていたけど、もう、限界に近かった。
  友達を置いてけぼりにして、しかも足を怪我して走れなくなって、それで大丈夫な訳がない。

「誰か...助けて...。」

  怖い。怖い。どうしようもなく怖い。
  外にいる奴らに噛まれたら私も同じようになってしまう。そう考えただけで、体の震えが止まらなくなる。
  モールにいた時も同じだったけど、あの時はしばらくは他の生存者もいたし、その後も友達と一匹がいたおかげで少しばかりマシだった。

「一人は...嫌だよぉ...!」

  でも、独りは怖い。私だってただの女子高生だ。非力で、何もできない。
  それで、どうやって生き延びろと?助けを呼べと?...無理に決まってる。



     ―――ドン!ドン!



「ひっ....!?」

  また、奴らが押しかけてきた。

「っ....!」

  重い荷物を使って、扉が開かないように抑える。

「っ...!?いつもより、強い...!?」

  いつの間にか、外の奴らが増えているようだ。

「っ...!っ...!!」

  決して開かれないように、必死で抑える。

   ―――....!.......!

「...?今、の...?」

  奴らの呻き声に混じって、誰かの声が聞こえた気がした。...それと、打撃音も。

   ―――ああもう!うっとおしい!こぞって寄ってくんな!

「っ...!誰か...いる!」

  誰かが外にいる奴らを倒しているみたいだ。よく聞けば、打撃音のと一緒に何かが潰れるような音も聞こえる。

   ―――せっかく駅に辿り着いたと思ったら、なんなのさー!!

「っ...助けて!!」

  きっと逃げてるだけかもしれない。なのに、奴らに囲まれたこんな状況の私を助けるなんて、無茶にもほどがある。...それでも、私は生き延びたい...!

   ―――...誰かいるの!
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ