第9話「しゅうかん」
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が、気づいてくれたらいいんだけど...。)」
ケータイは通じなくなっていて、ラジオの電波も辛うじて繋がっただけだから、誰も聞いていないのかもしれない。
一応、3回一時間おきに繰り返したけど、望みは薄いかな...。
「っ....!」
足がまだ痛む。...走れそうにないかな...。
「(大丈夫...まだ水と食料は残ってる。大丈夫....。)」
駅になぜラジオで放送できる設備や、非常食が豊富にあるのかは分からないが、これのおかげで今私は助かっている。
「大丈夫...大丈夫.....!」
ふと、一人の、モールに置いてきた友達と一匹の顔が浮かんだ。
「大丈...夫...な、訳、ないよぉ...!」
自己暗示のように呟いていたけど、もう、限界に近かった。
友達を置いてけぼりにして、しかも足を怪我して走れなくなって、それで大丈夫な訳がない。
「誰か...助けて...。」
怖い。怖い。どうしようもなく怖い。
外にいる奴らに噛まれたら私も同じようになってしまう。そう考えただけで、体の震えが止まらなくなる。
モールにいた時も同じだったけど、あの時はしばらくは他の生存者もいたし、その後も友達と一匹がいたおかげで少しばかりマシだった。
「一人は...嫌だよぉ...!」
でも、独りは怖い。私だってただの女子高生だ。非力で、何もできない。
それで、どうやって生き延びろと?助けを呼べと?...無理に決まってる。
―――ドン!ドン!
「ひっ....!?」
また、奴らが押しかけてきた。
「っ....!」
重い荷物を使って、扉が開かないように抑える。
「っ...!?いつもより、強い...!?」
いつの間にか、外の奴らが増えているようだ。
「っ...!っ...!!」
決して開かれないように、必死で抑える。
―――....!.......!
「...?今、の...?」
奴らの呻き声に混じって、誰かの声が聞こえた気がした。...それと、打撃音も。
―――ああもう!うっとおしい!こぞって寄ってくんな!
「っ...!誰か...いる!」
誰かが外にいる奴らを倒しているみたいだ。よく聞けば、打撃音のと一緒に何かが潰れるような音も聞こえる。
―――せっかく駅に辿り着いたと思ったら、なんなのさー!!
「っ...助けて!!」
きっと逃げてるだけかもしれない。なのに、奴らに囲まれたこんな状況の私を助けるなんて、無茶にもほどがある。...それでも、私は生き延びたい...!
―――...誰かいるの!
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