第9話「しゅうかん」
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「ちょっと悠里の手伝い帰りに様子を見に来ただけだ。」
「そーなんだ。」
完全に“ついで”だからな。
「遼君、先生、少し席をはずすから由紀さんを見ててくれる?」
「あ、わかりました。」
先生は教室を出てどこかへ行く。...まぁ、ゾンビに気付かれないから大丈夫だろう。多分、トイレか何かだろうし。
「由紀はなんの授業をしてたんだ?」
「国語だよ!...って言うか、めぐねえなんだから国語に決まってるじゃん。」
「っと、そうだったな。」
先生と一緒の授業なんだから国語に決まってるよな。
「え?うん。隣のクラスの遼君だよ。」
唐突に何もない場所...いや、本来なら誰かが座っていた場所に向かって話し出す由紀。
「ええっ?彼氏じゃないよー。友達だって。」
「(...さすがにどんな会話をしているか分からん。)」
由紀の話に合わせた方がいいのだが、全てが由紀の脳内補完によって構成されている会話なせいで、どう合わせればいいのかもわからない...。
「もー、からかって...だから違うって!」
由紀が“友達”と話しているのを眺めていると、先生が戻ってきた。
「遼君、ありがとうね。」
「いえいえ。先生こそ、お疲れ様です。」
由紀は確かに心の癒しとなる性格と笑顔を持つが、さすがに空想の相手との会話に付き合うのはキツイ。先生はこういうのにも対応しているのか...。...いや、別に由紀の事を貶している訳ではないけどな?
「なにがお疲れ様なのー?めぐねえ、何かしてきたの?」
「もう、めぐねえじゃなくて、佐倉先生でしょ?それと、今のはただの日頃の仕事の労いで、大した事ではないわ。」
「そうなんだ。」
本当は由紀の相手を任せている事に対しての労いなのだが、誤魔化しておく。
「では先生、それと由紀。俺は部室に行ってます。」
「はい。私達ももう少ししたら行くわね。」
「また後でねー!」
俺は二人に手を振ってから部室へと戻る。
「戻ったぞー。」
「おう、お疲れー。」
部室に戻ると、まだ悠里は帰ってきてなかった。
「胡桃も戻ってたか。どうだ?様子は。」
「んー、特に変化はなし。バリケードも大丈夫だし、近くに奴らは一人もいなかった。」
「校内の奴は一通り排除したからな。」
玄関のバリケードを張るに当たって、一通り校内の奴らを駆除した事がある。あれから、ちまちま倒し続けているため、二階も結構安全になっているはずだ。
「もうちょい玄関のバリケードを頑丈にして、二階の安全をもう一度確認したら、バリケードを二階に移そうか?」
「そうだなー..
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