第9話「しゅうかん」
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=遼side=
...俺が学園生活部に入ってから、しばらく経った。
俺も、この生活の慣れてきたし、悠里や胡桃(名前で呼ぶようになった)も先生が帰ってきた事で精神的に回復もした。...由紀は変わらないが...。
先生は、ゾンビに近づいた体に最初は戸惑っていたが、もう慣れたらしい。
ちなみに、悠里と胡桃には、先生と俺の体質について話しておいた。最初は動揺して口論になりかけたが、今ではだいぶ落ち着いている。...まぁ、“人”として生き永らえてるだけ、マシだしな。
「じゃあ、行ってくる。」
「いってらっしゃい。」
しばらく経ったからか、俺たちの行動も習慣付いてきた。悠里は家計簿などを書いたり、屋上の菜園の世話。胡桃は偶に二階までを見回ったり(大抵俺も同行する)、悠里の手伝いをする。それ以外は二人共部室でのんびりしてるな。先生と由紀は、由紀が普通の学校を送っている(つもり)ので、先生はそんな由紀に合わせるように行動している。偶に由紀がバリケード外に出ようとするのを止めるのも、先生の役目だ。
....で、俺はと言うと...。
「...よし、これで玄関は大丈夫だな。」
主に、奴らの生態調査と、バリケードの補強だ。
今は、玄関に机の板などを打ち付け、侵入を拒むようにしている。
「だが、あいつらの習性からすると、雨宿りとか言って中に入ってこないだろうな...?」
最近確信した事だが、奴らは生前の行動に沿った動きをする。意識があるのか、本能なのか...そこまでは分からないが、夜になればどこかへ行ったり、昼はグラウンドでサッカーをしたりと所々ゾンビらしくなかったりする。
...だからこそ、雨が降った時に、雨宿りという行動で校舎内に押し入られなければいいが...。
これは、先生が一度噛まれた要因でもあるから、結構心配だ。
「...よっ....と。」
バリケードを抜け、部室へと向かう。
「ただいまーっと。」
「おう、お帰り。」
部室に戻れば、胡桃と悠里がいた。悠里が昼食の準備をしているという事は、由紀や先生ももうすぐ戻ってくるな。
「りーさん!りーさん!今日のお昼はなにー?」
「由紀ちゃん、廊下は走っちゃダメ!」
「あっ、はーい。」
走ってきた音と共に、勢いよく扉が開かれ、由紀がそう言ってくる。遅れて先生が走ったことを注意する。
「あれ?遼君、少し汚れちゃってるけど、何してたの?」
「うん?あー...技術の先生の手伝いをしてたんだ。」
「へー。」
机の板を打ち付けていたなんて言えないため、適当に誤魔化す。
「はい、今日はスパゲッティよ。」
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