私の宝物 超能力 第4話
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した」
「とんでもないです。たまたま惨状が頭に浮かんだだけです。お礼を言われる程の事ではないのですから」
暗子は母から学んだ礼儀作法も言葉遣いも、ドキドキだが今のところ旨くいっていると思った。
だが富田家の人からは落ち着いた態度に言葉使い、さり気ない気遣いも好感を持たれたようだ。
その後、家族と一緒に食事になったのだが、慣れない暗子には美味しさよりも極度の緊張で、ご馳走も喉を通らなかったが、それが逆に謙虚に映ったようだ。
この日は無事に化けの皮が剥がれる事もなく終った。
いやこれで全て終る予定だった。こんな人達と住む世界が違うし、もう幸男とも二度と会う事はないだろうと思っていた。
だが幸男は一目惚れしたようだ。暗子の魔法に取りつかれたかのように。
帰り際に幸男が暗子に言った。
幸男はなんとしても、お礼をさせてくれと、それも自尊心を傷つけないように気遣ってくれたのだが、お金では失礼と宝石と高級乗用車を受け取ってくれと言うのだ。
こんな豪華なお礼なんて聞いた事もない。大金持ちは、まるで金銭感覚が庶民とは桁外れで、まったく分かっていないようだ。それにお礼なら今日招かれた事で済んでいるのに。
それでも気遣ったつもりのようだが、例え高級な車を貰ったとしても維持費が大変だし車の免許も持っていない。
でも、その気持ちだけは受け取らなくてはならない。暗子はお礼を述べながら丁重に断ったのだ。困った幸男は両親に相談した。どうすれば気持ちが伝わるのかと。
両親は幸男の困った表情を見て、惚れたなと苦笑をしていた。
しかし相手の幸男は尚も喰い下がる。それならと暗子に幸男が提案を出した。
今度その予知能力の予兆があった時に、すぐ会ってくれと暗子に伝えた。
それも予兆が現れたらすぐに電話をくれと。暗子は言っている意味が分からなかった。まあそれならば、と暗子はOKをしたのだ。
暗子は正直困っていた。幸男は優しいしとても魅力がある男性だ。
しかし身分というか住む世界が余りにも違う。第一、暗子は定時制高校しか出ていない。
その日に生活して行くのもやっとの状態だ。
万が一にも恋愛関係に発展しても結末は見えている。幸男は大会社の跡を継ぐ御曹司だ。
両親は跡継ぎには家柄、学歴そして容姿端麗な女性を望むだろう。
だが幸男は何かにつけ口実を見つけて暗子を誘い出す。
その度に母は新しい洋服を買ってくれたが、もう金銭的に限界だった。
この際、幸男にハッキリ断ろうと考えていた。
つづく
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