九十五 敵か味方か
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「……………」
「皆、待ってるんだってば…、綱手のばぁちゃんも、オレも…ッ!だから!」
もはや文章になっていない言葉を並べて必死に説得するナルは気づかなかった。今の自分の発言が失言だった事実に。
「…悪いけど、」
綱手という名に僅かに反応したアマルがようやく口を開く。
以前とは打って変わって、酷く冷たい声音に、ナルの肩がびくりと跳ねた。
「オレの居場所は『神サマ』だけだ。木ノ葉じゃない」
「アマル、」
「それに言ったよな?ナル」
何か言おうと口をぱくぱく開閉させるナルに向かって、アマルは非情な一言を浴びせた。
告別した際と同じ辛辣な言葉を。
「『神サマ』に会う為なら……――――ナルの敵になるって」
酷く辛そうな顔で口を噤んだナルを見ていられなくて、サスケは思わず「おい、」とアマルに声を掛ける。綱手から許可を得て里抜けするサスケにとっては、寸前のナルの言葉の何がアマルの逆鱗に触れたのか解らない。
けれどサスケの鋭い質疑と非難を遮るように、空々しくアマルは催促した。
「――うちはサスケ…。オレは単なる案内役だ。ナルと話し合うなり、……闘うなり、好きにしろ」
投げやりな態度で背を向けたアマルは、更に決定的な言葉でサスケと…ナルの想いを揺るがす。
「さっさとしろ…―――大蛇丸様が待ってる」
その一言は、ナルにとって、最も聞きたくない一言だった。
「……待ってる、ってなんだってばよ…?」
全身を小刻みに震わせ、ナルはきつく唇を噛み締めた。どうして、と雄弁に語る青い瞳がサスケとアマルを強く射抜く。
「お前の…、お前らの居場所は…っ、大蛇丸のところじゃねぇだろッ!!!!」
轟々と唸る滝音と風に負けない、ナルの心からの叫びが終末の谷でこだまする。
もう離れたくない。別れたくない。失いたくない――――友達を。
そう切実に訴えるナルの想いに、誰も答えてくれない。応えてくれない。
答えたのは…――――。
「―――なに、ちんたらやってんだ?」
「…………」
ナルとサスケ。双方の後ろに突然現れた人影だけだった。
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