九十五 敵か味方か
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ねぇ!!」
「おう!いくぞ、シカマル!!」
シカマルに張り合うように声を大きく上げながら、キバがクナイを手にする。
「てめぇらみたいなゴミ、何人束になろうが関係ねぇっ!とっとと来い、クソ共!!」
二人の威勢につられ、多由也も思わず怒鳴り返した。己の得物である笛を掲げる。
多由也の暴言に対し、むしろ挑発するかのような風情でキバが笑った。
「俺らのチームワークを舐めんなよ…っ、行くぞ!!」
「――――来やがれッ!!」
一斉に襲い掛かってきたキバとシカマル。両者の猛攻に身構えた多由也はキバのクナイを笛で受け止めた。
「今だ、シカマル!!」というキバの掛け声と共に、「任せろ!!」とシカマルが多由也の頭上を通り過ぎる。
そのまま遠ざかってゆくシカマルの後ろ姿を、多由也はぽかんと見遣った。
きょとん、とした顔の多由也を背後に、シカマルが一度だけ肩越しに振り向く。
「―――なんてな?」
ふざけた物言いで一言残し、去ってゆくシカマル。その背中を呆然と見送っていた多由也がハッと我に返る。
「くそ、騙しやがったなっ!何がチームワークだ!?」
即座に噛みついてくる多由也に、キバはにやりと不敵な笑みを浮かべた。
彼は先ほどシカマルに小声で頼まれ、多由也を足止めする役を買って出たのだ。
本当は自分がナルの許へ向かいたかったが、一応小隊長であるシカマルの指示には従わなければならない。
それに右近・左近と対峙しているいのの安否も、助っ人として送り出した赤丸の様子も気にかかる。
よって、ナルの許へ先に向かうと告げたシカマルの指図を受けたのである。
一方のシカマルは、任務本来の目的を知り得る自分がナルの許へ向かわなければならないという結論に達していた。
キバが向かえば、ナルと同じくサスケを連れ戻すという表向きの任務遂行の為に躍起になるだろう。だがそれでは駄目なのだ。
サスケを無事に大蛇丸の許へ潜り込ませる。ある意味、敵の思惑通りに動かなければ任務遂行には至らない。
ちなみに、ナルトとの邂逅や取り引きについてはシカマルの胸の内にだけ納めている。サスケの命を保証してもらう代わりに、己が不審に思った件を見て見ぬふりをするなど、本来の任務を知らなければ理解出来ぬ内容である。仮に誤って口を滑らせたとすれば、不利になるのは他ならぬサスケ自身だ。
とても口外出来る代物ではない。
そこでシカマルは己の段取り通り、キバに動いてもらった。キバ、そしていのには悪いが、今はサスケに追いついたらしいナルを止めるのが先決だ。
キバと多由也を背後に、シカマルは力強く木枝を蹴った。
サスケを連れ戻そうとするナルの行動を止める。
表向きとは真逆である、本来の任務を遂行させる為に。
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