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竜から妖精へ………
第0話 竜
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結したかと思えば……、やはり変わらない。 そんな人間を見てきた。それも事実の1つだ』


 その竜も、黒竜の様に 霊峰から下界を、人間の世界を見下ろすかのようにそう言う。
 そう、彼らにはこの場にいて全てを見ているのだ。……見えているのだ。


『そうだ…。その通り。そして 我を呼ぶのはその邪念だ。 ……人の醜い部分があるからこそ、それを滅ぼしているだけだ。 つまりは、この星に住まう病原菌を駆逐する為に……な。なぜ… 同じ支配者であるお前が我が行いを否定するのだ? ……そして、竜王祭も終わり、全ての竜を滅竜してきた。……が、お前だけは違う。我と同質であり、同類だ。……竜であって竜であらず。支配者だ。何故 否定をする』


 最初の通り 全く理解できない。そう言わんばかりに言った。そんな黒竜を一瞥し、直ぐに返答をした。


『オレは……オレたちは人の影。闇の部分しか見てなかった事だ。……そして 始まりの竜達も同様だ。 ……人は尊さを持っている。思いやりを、優しき心を、持っている。苦しんでいる時こそに、その輝きが増すのをオレは見た。 ……オレは命の大切さを知ったんだ、ただ、それだけだ』


 そう言ったと同時に、黒竜がその言葉に強く反応した。


『だから……か。貴様は、だからあの時(・・・)に、我を止めたのか…。 自らの身体を盾にしてまで』


 そう言うと…… ゼルディウスはその巨体では不可能だと思えるほど静かに立ち上がった。


『闇と光… 相対する者はいつの時代も存在する。 オレは彼らを見たくなったんだ。だからこそ……。 無闇に人間を滅ぼす貴様を止めた。闇は我々。人間は光。この世を闇だけにする訳にはいかん。それだけだ』


 立ち上がると同時に、黒竜の方を向いた。黒竜の目つきは明らかに変わる。……不快感がその視線、全身から溢れていた。


『害虫どもを…見るだと? 一体何の意味があるというのだ?』
『……そう言ってくれるな。 人間は害虫などではない、貴様は一部しか見て無さ過ぎなのだ』


 ただ、会話をしているだけ。それだけだと言うのに、緊迫した空気が流れ出た。会話、そしてにらみ合い。たったそれだけだと言うのに、辺りに影響を及ぼしていた。

 この常に異常気象空間である霊峰においても異常な程の天災が沸き起こる。


 天は、更に叫び、大地は割れゆき、それはまるで、世界全体が震えているようだった。


 天災の前に、成す術はない下界の人間達は恐怖に震える事しか出来なかった。























 その2頭の竜が 睨み合ってる時。

 霊峰から、何10、何100km以上も離れている人間達の世界。
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