黒に包まれ輝きは儚くとも確かに
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達の力を示せる機会を得たなら示さずに居られない。
敗北の可能性など微塵も考えない。責任の重さなど理解しつくしている。それでも己の輝きを示さずして何が男か。
例え黒麒麟ではない徐公明であろうと、同じ目、同じ心、同じ想いを持つモノが出来ると判断したのなら彼らに出来ないはずが無い。
――嗚呼、そういえばこいつらって……あたいよりもバカだった。あたいも自分の強さの証明出来たのに、勿体ないことしたなぁ……。
先程湧いたもやもやの正体に気付き項垂れる猪々子。ではあってもその表情は楽しみに緩む。
小難しいことよりも自分達の意地を優先するようなバカ達が、やはり好きで好きで堪らなかった。
「クク……じゃあ部隊長、行って来い。第三のあいつを追い抜くには今しかねぇぞ」
「おうよ! もう第三のバカにでかい顔はさせねぇ。お前ら悪いな、ご指名だ。こればっかりは譲れねぇ」
選ぶのは一人だけ。それなら、彼らの代表である部隊長が行くべき。
徐晃隊では、女になど負けたくない、そして多くを守りたいという渇望が隊の誰よりも強い男こそ部隊長になれるのだから。
「けっ、帰ったら皆に“ちょこれぇとぱふぇ”奢れよ」
「俺の給金じゃ無理だっての。徐公明がそれくらい出してくれるさ。だよな?」
「……善処しよう」
「「「「「よっしゃぁぁ!」」」」
我慢させるのだから、皆にも褒美はあげるべき。言質は取ったとはしゃぐ大バカ共の前から、ずいと部隊長が進み出た。
イラつきながらも黙ってそのやり取りを見ていた焔耶が秋斗を再び睨み、ギシリ、と歯を噛みしめる。
「貴様ぁ……何処まで私を侮辱するつもりだ」
「侮辱? バカ言え。侮辱してるのはお前だよ魏延」
「なんだと?」
「さっきも言っただろ?」
背を向け、ゆっくりと椅子を持って歩いて行く彼は、少し離れた場所で優雅に腰かけた。
また脚を組み、悪戯を企む子供の如き目を彼女に送る。
「“あんまり俺の愛しいバカ共を舐めてくれるな”」
どれだけの想いが其処にあるのか知らぬ彼ではなく、どれだけ血反吐を吐いて来たか理解しない彼でも無い。
凡人に生まれたことに絶望せず、来る日も来る日も鍛錬を積み上げ、かけ離れた武力を持つモノに勝って誰かを守る為に心を高めてきた。
彼らの中にも、たった一人だけ凡人から副将に駆け上がった男が居る。悔しさともどかしさに打ち震えながらその背を追い続けて幾星霜……その男に出来たことを自分達に出来ないはずなどないだろう。
その男と戦った将が、今や彼らの同志になった少女が、その男の強さを認めていた。一騎打ちで負ける可能性は確かにあったと。命令を優先しなければ、きっとその男――副長は猪々子と最悪でも相打ちしていただろう、と。
それなら、自分達が負け
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