第十二幕その四
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「この橋は普通の橋だけれど」
「ううん、やっぱり普通の橋じゃないよ」
「特別な橋だよ」
「僕達からしてみると」
「そうだよ」
「そうなのね、私はいつも渡ってるから普通だけれど」
それでもというのです、そしてです。
そうしたことをお話してでした、皆でです。
虹の橋を渡って次の雲に入ってまた虹の橋を渡ってです。一行は雲と虹を進んでいきました。そしてなのでした。
一番奥にあった雲まで着きました、すると。
そこにでした、赤と青、緑と黄色が複雑に混ざり合って輝いているその玉を見てです。ポリクロームが言いました。
「これがね」
「長さんの玉ですね」
「ええ、そうよ」
間違いなくというのです、ポリクロームはトトにお話しました。
「これがね」
「じゃあこの玉を手に入れて」
「あっ、待って」
ポリクロームが尻尾をぱたぱたとさせて雷玉に近付こうとするトトに注意しました。
「雷だから」
「迂闊に近付いたら」
「ええ、雷が来るわ」
「大丈夫だよ、僕も避雷針を付けてるから」
見ればです、トトの頭に一本の小さな針が立っています。
それを見てです、ポリクロームも頷きました。
「それなら大丈夫ね」
「だから安心してね」
「ええ、けれどね」
「今度はどうしたの?」
「貴方は身体が小さいから」
だからというのです。
「その雷玉を持てないわよ」
「じゃあ私が持とう」
こう言ったのは魔法使いでした。
「私が持ってね」
「そしてなのね」
「そう、そしてね」
そのうえでというのです。
「雷の精霊さん達のところに戻ろう」
「これからね」
「それで後は」
魔法使いはポリクロームを見て言いました。
「君もね」
「お家に帰って」
「そう、それでね」
そのうえでというのです。
「旅は終わりだよ」
「待って」
「待ってっていうと?」
「私はオズの国にも行きたいわ」
「王宮まで」
「そう、だからね」
「ここで帰らないんだね」
魔法使いもポリクロームの言葉に頷くのでした。
「そうするんだね」
「そのつもりよ。暫く遊んで行くわ」
「それじゃあ」
「ええ、行きましょう」
是非にとお話してでした、そして。
魔法使いがその雷玉を受け取りました、そこから。
また虹と雲を渡ってでした、飛行船まで戻りました。その虹と雲を歩くことが終わってです。ジョージは笑顔で言いました。
「こうして雲と虹の上を歩けて」
「楽しかったのね」
「はい」
ポリクロームに笑顔で答えました。
「とても」
「外の世界で出来ないわね」
「とてもです」
それこそとです、ジョージはまた答えました。
「出来ません」
「そうね、けれどね」
「この国ならですね」
「オズの国ならね」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ