孤独を歌う者
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「そう……ロザリアなのね」
くしゃっと顔を歪め、パッと目の前に移動して来たかと思ったら、両腕を首に巻き付ける格好で飛び掛かられた。
重ッ!
「やっと会えた……私の娘……っ!」
やっぱりか。やっぱり母親とかいうヤツなのか。
ちょっとこう……外見的にいろいろ突っ込みたい!
あとその、にゃあって鳴くヤツ本当に何? 牙とか微妙に怖いんだけど!?
「アリア……!」
女神より少し私に近い位置で薄着の女が半身を起こし、アリアを呼んだ。
……ちょっと待てこの状況。母親が二人居る?
いや、私も似た状況にはなってるが、一人はどう見ても幼女なんだけど。
なに、この変な図。
「……ぷ……っ……くく……」
玉座の手摺に腰掛けてるレゾネクトが、右手で体を支えながら左手を口元に当ててふるふると両肩を震わせてる。
「く……っは! あっはははははは!!」
……コイツ……そう言えば、前にもこうやって笑ってたな。印象としては嫌味な薄ら笑いのが強いけど、もしかして笑い上戸とかじゃないのか。
幼女が私にサッと背中を向けて両腕を精一杯広げる。
……夫婦仲最悪なのか? 庇うにしても、空間を使う相手にそれは意味無いだろ。
「やはり面白いな、ロザリア。お前は何処かアルフリードに似ている」
「知るか。誰だよ、アルフリードって」
「彼だよ」
体を捻ったレゾネクトの左手が玉座に座ってる男の頭を撫でる。
死体……だよな? 起きやがれ! っつってばら撒いた私の力に全然反応しなかったし。
「……要するに、ソイツを生き返らせたいから、アリアを利用してたのか」
「厳密には生き返りではない。生まれ変わり……のほうが表現としては的確か。元々アリアが持つ退魔と治癒の力は、神々が彼に授けた祝福だ。彼に返すのは当然だろう?」
「だから実の娘を孕ませるってか。アホかお前。生まれ変わり? 莫迦言ってんじゃねぇよ。死んだヤツは何をどうしたって二度と戻って来ない。力を渡そうが記憶を受け継ごうが、産まれて来る子供は別人だ。お前らがどんな関係か知らんが、諦めろ。ソイツは絶対に戻らない」
金色の髪を撫でる手がピタッと止まる。
「……アルフリードは俺の敵だ。俺が殺した」
「は?」
横顔から笑みが消えた。立ち上がったベゼドラと幼女と金色の何かが、警戒して身構える。
……止めとけって。私でも判ったってのに、まだ解んないか?
そんな態度を取るから攻撃してくるんだぞ、コイツ。
「自分で殺しておいて呼び戻そうとしてんのかよ。勝手なヤツだな」
「勝手ではない者が居るか?」
「……居ねぇな」
クロスツェルもベゼドラも、小さいアリアを神殿に放置したらしい母親とかいうヤツも、最低な形で娘を利用したがってるこのバカ親父も。アリ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ