第一部
第六章 〜交州牧篇〜
八十七 〜決死の攻城戦〜
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そう言いながら吶喊してきた者を、一刀のもとに斬り捨てる。
だが、その叫びが切欠になったのか。
群がる賊の人数が増えた気がする。
「フクロにしちまえ!」
「いくら強くても、数はこっちが圧倒的なんだからな!」
勢いづいた賊どもに、一人また一人と、兵が斬られていく。
「お兄ちゃん!」
「今少しの辛抱だ」
だが、長くは持たぬぞ。
と。
バン、と大きな音が響き渡った。
続いて、喊声が上がる。
「皆、続け!」
「一人も逃すな!」
彩と愛紗の声。
どうやら、城門を開ける事に成功したようだな。
途端に、取り囲む賊共が混乱に陥った。
「くそっ! せめて、テメェだけでも道連れにしてやる!」
「にゃっ! させないのだ!」
「生憎だが、貴様らに呉れてやれる程この命、安くないのでな!」
向かってくる者を一人、また一人と斃していく。
「死ね!」
「させん!」
「がっ!」
背後に感じた殺気は、一瞬にして霧散した。
「ご無事ですか、歳三殿」
「疾風か。助かった」
もう、掃討戦に移行し始めたようだ。
「歳三に負けるな! 揚州兵の強さを見せてやれ!」
「応!」
遠くから、睡蓮の叫びが聞こえた。
「もう良かろう。疾風、速やかに火を消せ」
「はっ」
これで、長沙郡は治まるであろう。
犠牲も生じてしまったが、それを悔いても始まらぬ。
せめて、その者らの冥福を祈るばかりだ。
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