第一部
第六章 〜交州牧篇〜
八十七 〜決死の攻城戦〜
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「こんな事なら、冥琳でも連れてくるんだったな」
「いや、如何に公瑾でもこの二人以上の策がすぐには浮かばぬじゃろう。堅殿、何か勘働きはないのか?」
「そうだなぁ……」
と、睡蓮が天幕の中を見渡す。
そして、璃々で視線を止めた。
「なあ、璃々。あの城に入る方法、何か知らねえか?」
「んーとね……」
少し考えてから、璃々はニコリと笑った。
「あるよ。秘密の抜け道」
「え? でも璃々、私も知らないわよ、そんな物があったなんて」
「だって、璃々とお友達だけの秘密だもん。いくらおかあさんでも知らないでしょ?」
ふむ、これは盲点だった。
一縷の希望を見いだせるやも知れぬな。
……だが、子供の言葉だ。
皆、不安と期待がない交ぜという表情をしている。
「璃々。その場所に案内して貰えるか?」
「うん、いいよ!」
「よし。紫苑、疾風、二人は璃々と共にその場所を確かめて参れ」
「わかりました」
「ははっ!」
飛び出して行く三人。
「でも、睡蓮おばちゃんの勘は相変わらず凄いのだ」
「んー? そうか?」
まんざらでもないのか、照れたように頭を掻く睡蓮であった。
半刻後、三人は無事に戻ってきた。
が、紫苑と疾風の気配は厳しい。
「如何致した?」
「……はい。確かに、抜け道はありましたわ。璃々の話だと、城内の古井戸に通じているらしいです」
「侵入にも気付かれにくい場所にありました。……ただ」
「奥歯に物が挟まるような言い方は止せ。何か問題があるのだな?」
「……ええ」
「……実は、その穴が非常に狭いのです。璃々ならば問題ないのですが」
子供しか通れぬ穴、か。
それでは、城内の者が気付かなくても無理はなかろう。
「でも、紫苑も疾風も別に太っている訳ではなかろう?」
「勿論よ、愛紗ちゃん。……でも、あなたでも無理だと思うわ」
「むう。それは、私が無駄な肉を付けているとでも言いたいのか?」
「とにかく、一度見てみなくてはわからぬな」
「はい。ただ、何度も行けば気付かれる恐れがあります。採寸を取り、同じ大きさを再現してみました」
そう言って、疾風はくり抜かれた一枚の板を取り出した。
「璃々の話では、これを潜れれば大丈夫との事です。試しに、私がやってみます」
頭は難なく通り抜けられるようだ。
……だが、肩を過ぎたところで引っかかってしまっている。
「私も、同じでしたわ」
「……つまり、二人とも胸でつっかえてしまう、という事ですか」
「ええ。稟ちゃんでも難しいと思うわ……ほら」
同様に星、彩、愛紗も無理であった。
「う〜ん、俺も駄目だな」
「私もです」
そして、睡蓮と飛燕も。
「鈴々は平気なのだ!」
「……私も大丈夫です……ハァ」
はしゃぐ鈴々と対照的に、明
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