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大蛇
11部分:第十一章
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「とにかくわし等はこの蛇に助けられた」
「そうですね」
「それは間違いありませんね」
 ドウモト兄弟もそれは確かだと頷いた。
「この蛇のおかげで」
「無事に」
「礼を言うぞ」
 博士は自分達に顔を向けて来ている蛇に対して告げた。蛇はその鎌首をあげてクルーザーにいる彼等にその顔をじっと向けてきていた。
「このことは」
 蛇は何も語らない。ただ博士達をじっと見ているだけだ。しかし博士はその目を見て頷くのであった。
 そうしてそのうえで、であった。蛇に対して最後の挨拶をした。
「達者でな。機会があればまた会おうぞ」
 こう告げてだ。他の三人に対して声をかける。
「では戻るとしようぞ」
「ええ、それじゃあ」
「このまま」
「帰りましょう」
「わしの長い人生の中でも最高の旅の一つじゃった」
 博士は満面の笑顔だった。
「思いも寄らぬ助けを得られたからのう」
 彼はそのことを心から喜んでいた。そのうえで今帰路につくのだった。博士が乗るクルーザーを蛇は見送っていた。その姿が完全になくなるまで。


大蛇   完


                2009・11・2

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