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姉ちゃんは艦娘
10.姉ちゃんは艦娘
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たんだけど、今の私みたいにキラキラ光って、そのまま消えちゃったの。だから、多分私の予想は間違ってない……」

 光の粒子がたちこめる勢いは止まらず、それにつれて、少しずつ比叡さんの身体が薄く透けてきた。僕は必死に比叡さんの手を掴み、比叡さんの腕をさする。大丈夫。まだ触れることが出来る。

「だからよかったぁ〜……シュウくんを守れてよかったぁ〜……」
「……やだ」
「お父様とお母様には、シュウくんからお礼を言っといて」

 いやだ。そんなのダメだ。そういうことは自分で伝えるから価値があるんだ。お礼は自分で相手に伝えなきゃいけないんだ。だから自分で言ってくれ。姉ちゃんの代わりに伝えるなんてイヤだ。

「あと、このバットもらってくね。シュウくんと出会えた証に」

 比叡さんは、力の入らない手でなんとか握っているバットを持ってそういった。比叡さんが持っているためか、バットも光り輝いていて、光の粒が立ち込めている。

 イヤだ。あげない。持ってくなんて絶対許さない。そのバットは、比叡さんがテレタビーズでホームランを量産できるようにってあげたんだ。だからバットを手元に置きたいなら、こっちでテレタビーズにずっといて。

「鎮守府に帰ったら、金剛お姉様たちに自慢するんだぁ〜……私に弟ができたんだって……」
「帰らないでよッ!!!」

 自分でもびっくりするぐらい、大きな声が出た。イヤだ。絶対イヤだ。あんなダサくてふざけた名前の鎮守府になんてうちの姉ちゃんは絶対に行ってほしくない。つーかどこにも行ってほしくない。

「シュウくん……お姉ちゃんを困らせないで……」

 比叡さんは、困ったような苦笑いを浮かべながらうつむいた。知らない。姉ちゃんが困ってるなんて知らない。だって姉ちゃんだって僕を今困らせてるじゃないか。キラキラ光って少しずつ透き通ってきて、『帰る』だなんて言って、僕を困らせてるじゃないか。ほら、早くウチに帰ろう。そして母さんに朝ご飯作ってもらおう。二人でいっぱい食べよう。

「ごめんねシュウくん。一緒に家には帰れないよ」
「ヤだよ!! なんで帰るとか言うんだよ!!」

 ぼくはさらに声を張り上げた。姉ちゃんがいなくなるなんてイヤだ。玉子焼き食べられなくなる。家の中で僕を挑発する人がいなくなる。つっつきたくなるほっぺたの人がいなくなる。お日様のような笑顔が見られなくなる……そんなのイヤだ。岸田に会わせて自慢しなきゃいけない。姉ちゃんに提督の真の姿を教えなきゃいけないんだ。僕の背中を後押ししてくれた秦野にも紹介したいんだ。姉ちゃんと一緒にやりたいことがたくさんあるんだ。

「シュウくん……」
「元の世界に戻っても、今日みたいに傷だらけで戦わなきゃいけないんなら、こっちにいてよ!! 姉ちゃんがいないなんてイヤだ
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