10.姉ちゃんは艦娘
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れた。ガランという音と共にアームは地に落ち、それと同時に所々走っていた亀裂の部分からアームが折れた。
レ級の怪物が、こちらに向けて大口を開いた。よく見ると口の中に砲塔が見えた。レ級は静かにこちらを見据えている。一方の比叡さんも、レ級から見て半身の状態で静かに相手を見据えている。化け物は口の中の砲塔を伸ばし、こちらに狙いを定めた。
「姉ちゃん……」
「大丈夫」
「でも姉ちゃん、武器何もない……」
「……」
轟音が鳴り響き、レ級がこちらに砲撃した。直後、周囲の時間の流れがゆっくりになり、僕にはこちらに向かってまっすぐ向かってくる、青紫色に濁ったレ級の砲弾が見えた。
―んー。いつもは戦ってたからね。
敵の砲弾に比べたら、あの程度のボールなんていくらでも跳ね返せるよ!!
そしてその禍々しい砲弾を、比叡さんがそのバットの真芯で捉え、次の瞬間……
「ほりゃぁあああああああ!!!!」
『ガズン!!!』という音が鳴り響き、比叡さんのバットで打ち返された砲弾はレ級に向かってまっすぐ飛んでいった。レ級は自分の身体の前に怪物を持ってきたが、砲弾は『ボギャアッ!!!』という嫌な音共に怪物の身体を突き抜けて大穴を開け、さらにレ級の身体にゆっくりとめり込み、そしてさらに突き抜けて大穴を空けた。
砲弾が突き抜け大穴が空いた自身の身体を見た後、レ級は驚きと苦悶の眼差しをこちらに向けた。その口と目から赤黒い血が流れたのが僕達からも見え、次の瞬間、爆音とともにレ級の身体が弾け、同時に炎に包まれて、大爆発を起こした。上がった火柱からはたくさんの赤黒い火の粉が大量に立ち込め、それらが熱に煽られて上空に上がっていくのが見えた。
『ヴォォオオオオオオァァアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!』
身の毛もよだつ叫び声が周囲に響き渡った。叫び声が轟くあいだ、比叡さんはキッと前を見据えていた。砲弾を打ち返したことでもはや形状を留めないほどにネジ曲がってしまったバットを持つその手から力を抜かず、肩で息をしながら、それでも比叡さんは警戒を緩めなかった。
やがてレ級の叫びが聞こえなくなると、緊張の糸が切れたのか……それとも体力の限界が来たのか……比叡さんは全身の力が抜けたかのように急にフラフラとしはじめ、後ろに倒れそうになった。僕は必死に比叡さんを抱きかかえ、勢い余って比叡さんと一緒に倒れてしまい、そして比叡さんの下敷きになってしまった。
「いだッ?!」
「ひぇぇ……?」
レ級の方はさらに巨大な火柱となり、赤黒い粒子を上空に撒き散らしながら、貨物船も巻き込んで大炎上していた。避難した船員たちが呼んだのだろう。たくさんの消防車と警察のサイレンが周囲に聞こえ、だんだんと周囲が賑やかになってきた。
「シュ
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