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姉ちゃんは艦娘
10.姉ちゃんは艦娘
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て嫌な音が周囲に鳴り響き、比叡さんが悲鳴を上げているのが聞こえた。

「やめろッ!! それ以上やったら殺す!! 絶対殺すッ!!! だからやめろッ!!!」

 僕は埠頭に乗り上げ、喉が痛み、血が出るんじゃないかと思えるほどの勢いで必死にレ級を制止したが、レ級の残酷な勢いは止まらない。レ級は一際凶悪にニタッと笑うと、こちらに背を向け、まだ動く比叡さんのアームの一本に手を伸ばし、比叡さんの頭を踏みつけている足をそのまま支えにして、無理矢理にアームを捻じ曲げ始めた。金属がひしゃげる痛々しいイヤな音が周囲に響く。

「姉ちゃん!!!」
「シュウくん……早く逃げ……!!」

 レ級がアームを無理矢理に、上下左右に何度も何度もねじ曲げていく。僕は金属バットを持ってきていたことを今やっと思い出し、自分の足元に転がっているその金属バットを拾い上げ、それを握りしめた。

 それと同時に『バキン』という音が聞こえ、比叡さんのアームがついに根本から折れた。

「ァァァァァアアアアアアアアア!!!」

 比叡さんの痛々しい悲鳴が周囲にこだました。レ級はアームをねじ切って満足したのか、こちらに背中を向けたまま、ねじ切って興味が無くなったアームをポイと投げ捨てた。

「当たれェ……離れろぉおオオオ!!!!」

 僕は忌々しいレ級の背中に向けて、フルスイングでバットを投げた。バットはまるで、僕の意思が乗り移ったかのように回転しながらレ級に向かって飛んでいき、そのままレ級の後頭部にヒットした。ガンッという音が聞こえ、レ級の体勢が崩れたのがわかった。

「ダメ……シュウくん……逃げて……」

 不意、海面にこちらに向かって走ってくる何かが見えた。海面の下を何かの影が3つ駆け抜けていて、それがレ級から発射された何かであることがわかった。その瞬間、僕の脳裏に、先ほど足元で爆発が起き、垂直に吹き飛ばされた比叡さんの姿が浮かんだ。

「あ……」
「シュウくん……! 魚雷……ッ!!」

 直後、足元の埠頭にその影が直撃し、埠頭が爆発した。僕の身体は……先ほどの比叡さんよりはマシだったが……中空に舞い上がり、そのまま地面に叩きつけられた。

「ガッ……?!」

 4mぐらいは吹き飛んだだろうか……詳しくはわからない……とにかく高い位置から地面に全身を叩きつけられ、僕の身体は激痛の警報を鳴り響かせた。あまりの痛みにうずくまり、息が出来ない。痛みを我慢するのに必死で、今の僕には何も出来ない。

 悶絶している僕のすぐそばにレ級が来た。海面から上陸し、一歩一歩迫ってくるのはわかるが、痛みが酷くて立ち上がれない。頭が痛い。気持ち悪い……吐きそうだ……レ級はそのままうずくまる僕の髪を掴んで頭を持ち上げ、無理やりに立たせる。

「いだだだだ!! 
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