8.姉ちゃんの正体
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比叡さんの謎に僕なりに迫ることを決めた次の日は、さすがに母さんが登校を許さず、学校を休んだ。母さんは比叡さんに対し、
『絶対にシュウを学校に行かせちゃダメだからね』
とだけ言い残し、僕の方を睨んでから仕事に向かった。比叡さんは今日はバイトは休みらしく、
『気合! 入れて!! 看病します!!!』
と言い、濡れタオルを絞る時に力を入れすぎて、濡れタオルをミシミシ言わせていた。それ、濡れタオルの意味がありませんよ……
僕はというと、一晩ゆっくり休めたおかげか……それとも比叡さんの膝枕で安心して眠りにつけたおかげか、体調的にはまったく問題ないレベルにまで回復してはいた。そのため母さんが仕事に向かったあと、折を見て学校に向かうつもりだったが……
『ダメだよシュウくん! お母様との約束だから!!』
『シュウ、これ以上母さんに心配をかけるな』
と、妙に使命感に溢れた比叡さんと、母さんより出勤時間が遅めな父さんに釘を刺され、今日だけはおとなしくしていることにした。
一日中寝ているのもイヤだったので、比叡さんの許可をもらって居間でテレビを見ていたのだが、うちの近所の港では、ついに海上保安庁の巡視船が沈没したというニュースがやっていた。ちょくちょくチャンネルを変えたが、どの番組もその話題でもちきりで、ちょっとした全国的な騒ぎになっているようだった。最近、夜の小田浦港で海面に立つ女の子の目撃例が多いという、ちょっとオカルトめいた話もあった。
テレビを見ながらの朝食が終わったところで、僕は自分の部屋に戻り、インターネットで岸田がプレイしていた『艦これ』について情報を集めた。まず、艦これは現在ネット上で人気になっている、いわゆる岸田好みのゲームであること。戦前から戦時中ぐらいまでの日本海軍の軍艦を擬人化した『艦娘』というキャラクターを集めるゲームであること。そして集めた艦娘で艦隊を組み、深海棲艦と呼ばれるモンスターのような存在と戦うゲームであること。わかったのはこの辺りだ。
ぁあ、あと18歳以上じゃないとプレイ出来ないゲームってのは別に関係はないだろう。どう考えても3回以上の留年を繰り返しているようには見えない岸田がプレイしていることは、僕の胸の内にとどめておく。
加えて、戦艦比叡と、同じく金剛型の戦艦3隻を擬人化した『金剛四姉妹』を見てみた。全員が、初めて比叡さんと会った時と同じ……いや随所に違いはあるけれど……巫女装束のような服装に身を包み、確かに姉妹といえる感じのキャラクターだった。長女は金剛。帰国子女という設定で、以前に比叡さんが言っていた『帰国子女の金剛お姉様』という話とも矛盾しない。
三女は榛名で四女は霧島。確か以前に比叡さんは、妹の名前が榛名と霧島だと言っていた。これも矛盾して
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