暁 〜小説投稿サイト〜
姉ちゃんは艦娘
8.姉ちゃんの正体
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いう話をきいたことがある。岸田のゲーム内での名前と、比叡さんが以前いた施設の名前が偶然同じだった。岸田は『比叡』というキャラクターを梅雨時に失くし、同じ時期に偶然、僕は比叡さんと出会った。比叡さんがかつて一緒に施設で暮らしていた仲間は、偶然岸田が『比叡』を失うまでに揃えていたキャラクターと同じだった。さらに、岸田が失った『比叡』というキャラクターは、見た目からセリフ、そしてキャラ的特徴、性格、すべてが比叡さんと偶然いっしょだ。

 偶然が4つも揃った。ならばこれは、偶然ではないのだろうか。ものすごく馬鹿げた話だけど……やはり比叡さんは、岸田が失くした『比叡』なのではないだろうか……

「シュウ……」
「……ぁあ、なに?」
「汗出てるぞ。大丈夫か?」
「うん。大丈夫。……岸田、戦闘画面見せてくれないかな」
「?」
「いや、だってこのゲーム、深海棲艦と艦娘を戦わせるゲームなんだろ?」

 馬鹿げた話だけど、もし本当に比叡さんが岸田が失くした『比叡』だとすれば、僕は、比叡さんが何をしていたのかを知りたい。知らなければならない。

「……分かった」
「出来れば、その『比叡』がいなくなった場所を知りたい」
「了解した。じゃあ、比叡たんがいなくなったステージ……海域っていうんだけど、そこに行こう」
「うん」
「条件は出来るだけ合わせる。比叡たんの代わりにビス子を入れれば、条件はあの時と同じはずだ」
「頼む。ありがとう岸田」
「いいよ。お前にそんな深刻な顔で頼まれたら、イヤとは言えないだろ」

 岸田はマウスを操作して、六人の艦娘でチームを組ませた。面子は戦艦の金剛と榛名、霧島、『比叡』の代わりのビスマルク。そして空母の大鳳と加賀。ステージを選択し、そのチームが出撃した。

 ステージは双六のようになっていて、ルーレット(岸田は羅針盤といっていた)を回し、出た方向のマスに進む。進んだ先には、同じく6体の深海棲艦のチームが待ち構えていて、その深海棲艦のチームと、岸田の艦娘たちが戦うというシステムだ。

 僕はその戦いを見た。小さなカード状で表示された艦娘たちと深海棲艦が、互いに列からちょっと飛び出ては攻撃をし合い、相手にダメージを与えていく……

―んー。いつもは戦ってたからね。
 敵の砲弾に比べたら、あの程度のボールなんていくらでも跳ね返せるよ!!

 榛名が大ダメージを負ったようだ。榛名の服が破け、痛々しい表情をし、装備品が壊れているグラフィックになった。そのまま戦いは終了し、岸田のチームの勝ちになったようだった。

「榛名が中破か……まぁいい」

 画面は、撤退と進軍の選択肢が表示されていた。岸田はマウスを操作して、迷わず進軍を選択していた。

―私たち、いつもシンカイセイカンと戦ってたんだけど、
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