7.姉ちゃんの謎
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今日は少し気分がいい。岸田と勉強のことで話をしていた時のことだ。
「そういやシュウ、お前、確か歴史苦手だったよな」
「うん」
「俺、歴史は得意なんだよ」
岸田が鼻の穴を大きくして誇らしげにそうのたまう。こういう時の岸田は、自分の知識をひけらかしたいときだ。付き合いも長いから、そういうのがなんとなく分かる。
「へぇ?。まぁあれか。戦国時代とか三国志とか詳しいもんな岸田」
「そういうことだ。んじゃーシュウ、問題を出してやる」
「どうせ試験にもでなさそうなマニアックなことを問題にするくせに……」
「ほざけほざけ?。太平洋戦争が勃発したときの総理大臣は誰だ?」
あ、前に比叡さんが話してくれたやつだ。
「東条英樹だったかな?」
「バカなッ!! 歴史が苦手なお前がなぜ知っているッ?!!」
「たまたまだよ……」
多分、『どうせシュウごときに答えられるわけがないんだよ?』なんて高をくくっていたんだろう。それを僕が答えてしかも正解してしまったわけだから、よほど岸田は悔しかったようだ。『じゃあ近代史縛りだッ』と言い出し、僕の岸田の間で近代史クイズ勝負が始まった。
「んじゃあ開戦の時に真珠湾より前に日本軍が攻め込んだところは?!」
「マレー半島」
「開戦が決まった時の暗号は?!」
「ニイタカヤマノボレだっけ?」
「そのニイタカヤマは今で言うどこの山だ?!」
「台湾で合ってる?」
「日本の快進撃はいつまでだ?!」
「ミッドウェー海戦」
その後も岸田のクイズは続き、僕はそれにことごとく答えた。どうも比叡さんから聞いた知識は間違いではなかったようだ。いや別に疑ってたわけではないけれど。
岸田はというと、僕が答える度にイライラを募らせ、その後元気がなくなり、そして涙目になってきた。そんなに悔しかったのか……。
「うわぁあああああん!! おれが唯一シュウに勝てる分野だったのにぃぃいいいい!!」
ふふん。いい気味だ。そうやってぼくとの勝ち負けの中でしか胸を張れないからダメなんだよっ。
「うるさい!! このリア充吹奏楽やろうがっ!! お前なんか受験に落ちてしまえばいいんだッ!! 永遠にラッパを吹いているがいいッ!!」
そういや秦野から『たまには部活に顔を見せて下さい』って言われてたな……久々に行ってみるか……
放課後、少し吹奏楽部に顔を出すことにした。この時期の吹奏楽部は特にさしあたってやることもなく、催し物といえば年末のアンサンブル大会ぐらいだ。今はまだ秋で、アンサンブル大会まではまだ余裕がある。部活ものどかなものだ。
「……あ、先輩が来た」
僕が顔を出すなり、秦野が相変わらず愛想のないリアクションをしてきた。お前、自分で僕に『たまには来い』とか言っ
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