7.姉ちゃんの謎
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ておきながら、その無愛想な受け答えは何なの?
「うわぁああああんせんぱぁああああい。会いたかったですぅううううう」
「ウソつけ。無表情でそんなこと言うのはやめなさい」
「すみませんでした」
「全然反省してないくせに……」
その後、秦野に言われて1年生たちのレッスンを見てあげた。見てあげたつっても、別に何かを教えたわけではなくて、単に『もっと大きい音を出せるようにしとこうね』とか、『スタッカートはしっかりね』とか、その程度のアドバイスだ。
「先輩、なんだか最近楽しそうですよね」
ひと通りレッスンを見てあげて休憩中、秦野にこんなことを言われた。僕の後を継いでパートリーダー兼ファーストトロンボーンになったそうだ。秦野とは校内でちょくちょく会うんだけど、秦野曰く、その時の僕が以前より心持ちウキウキして楽しそうに見えるらしい。
「そお?」
「はい。部活から離れられたのがうれしいのかなーと」
いやそんなことはない。言っても2年以上心血を注いだ部活だ。今だって、『毎日吹かなきゃカンが鈍る……』という意味不明の焦燥感みたいなのに時々襲われる。
「そうなんですか?」
「そうだよ。お前、僕がそんなに薄情に見えるの?」
「だって先輩、結局キャラメルくれなかったじゃないですか」
キャラメル? なんの話だっけ?
「草野球大会の時、キャラメル買ってくれる条件で先輩の楽器を学校まで運びました」
ぁあ?そういえばあったねそんなこと。……つーかよく覚えてるね。
「怒ってるの?」
「怒ってないです。拗ねてるだけです」
「お前、結構こどもっぽいとこあるのね」
「年下ですから」
大人っぽい秦野の意外に一面に驚かされた。次顔を見せるときにでも、キャラメル持ってきてあげようかな。
「約束ですよ」
「はい」
後輩たちへのアドバイスという先輩風を思いっきり吹かせてきた後、僕は家路につく。今晩は数学の勉強をしないと。
家に着くと、とりあえず自分の部屋に戻って荷物を起き、室内着に着替えて食堂に向かう。今日は比叡さんのバイトが休みだったらしく、晩御飯は比叡さんが作ったカレーのようだ。
「シュウくん! たくさん!! 食べてねッ!!!」
「そのトリプルリズムは絶対に崩さないんだね……」
この頃になると、比叡さんの料理ももう普通に食べられる程度には味が安定してきたわけだが……あれ? 母さんが作るカレーとほとんど同じ味……?
「ん? シュウくんどうしたの?」
「いや、……母さん? 母さんも手伝ったの?」
「そうよ?……比叡ちゃんね……カレーにアレを入れようとしてたのよ……だから母さん慌てて……」
「? アレ?」
途端に比叡さんが、慌てふためき両手をパタパタとさ
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