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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第208話 最後の戦い
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だったんだ。
 もしも……今 自分が あの時(・・・)のままの自分であれば、どうなってしまうか。考えるまでもない。焦点がぼやけ、完全に失って、その闇の世界の中に再びあの時の男が姿を現すだろう。額に銃痕を残し、眼からも血を流しているあの男が。


――でも、もう 違うよね。もう……私達は。


 誌乃の中に、あの男の代わりに あの世界での自分が。……シノンが現れた。


――私達の闇は……、あの世界で、終わった筈だよ。


 そう、壊してくれた。……全てを 闇の全てを あの銃(象徴)と共に、闇を封じてくれた。だから、自分の心は救われた。……彼に。……彼らによって。だけど、昌一は違うんだ。


――今は、自分が出来る事を、するだけ。……彼には、隼人には おごってもらったよね? 本当に、沢山……沢山……。だから、今度は私が、私達がしなきゃ。私達が……しなきゃ。


 突然の出来事。連続での驚きと衝撃。再び心が折れそうになりかねなかった時、誌乃の中で あの世界でもつ事が出来た勇気が、再び自分の足を動かそうとしていた。
 あの世界で戦ってきた彼女が、へカートを携えた薄い青色の髪の少女が手を貸してくれた。







「さぁて、どうせ コイツの事だ。……警察でも読んでるんだろ? ……さっさと決着をつけないとな? 鬼よ」

 足で 何度も隼人の頭を踏み抜く昌一。

「……ぐっ」
「ははっ! あの世界じゃ、毒ナイフなんざ、受ける鬼じゃなかったんだがな!」

 SAO時代のリュウキは、ラフコフにとっては まさに《鬼》と言っていい存在。その力は、PoHも、死神も、畏れさせる程だった。そんな男の上に立っているのだ。得も知れぬ優越感が昌一に、ザザにはあったのだ。

「……し、の」

 必死に身体を動かし、見ていたのは昌一の方ではなく、誌乃の方だった。

「ははっ 閃光の片方の娘とは別れたってのか? ええ?」

 何度も蹴りを入れる昌一。
 倒れつつも、身体をくの字に折ってしまう隼人。昌一の蹴りは、頭の次に、何度も何度も隼人の腹へとあたっていたのだ。
 その鈍い痛みのおかげもあり、途切れかけていた意識を繋ぎ止める事が出来たのだ。まだ、全身が痺れる様な感覚は取れなかったが。

「(スタン、ガン……ッ)」

 昌一の右手に持たれている黒い塊を見て、察した。金属部分には、昌一が スイッチを入れているのだろうか、ばちっ、と言う音を響かせながら、空中放電を繰り返していた。

「逃げ、ろ……、し、しの……ん」

 何度も何度も誌乃に向かって隼人はそう言っていた。
 
「……さて、おい。恭二」

 昌一は、視線をまだ倒れている恭二へと向けた。

「お前は いつまで寝てんだ? 
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